リスクとリターンは表裏一体
今年は、米国のNYダウやナスダック総合指数、日本では日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった主要株価指数が史上最高値を更新しました。一方で、日経平均株価は8月5日に過去ワーストの下げ幅となる歴史的な暴落を経験しました。
このように、日米の株式市場の日々の値動きが激しくなっており、大幅な上昇や急落局面を報じるニュースが目立っています。今年制度が改正されたNISA(少額投資非課税制度)を使って、はじめて株式投資にチャレンジされた方は、あまりの値動きの激しさに戸惑っているかもしれません。
株式を始め、リート(不動産投資信託)や為替、暗号資産など、金融市場の値動きに投資する金融商品には、常にリスクがつきまといます。投資において、リスクとリターンは表裏一体で、基本的にはリスクが高いものほど、大きなリターンが期待できます。
投資に元本保証は付かない
ニュースと言えば、時折、安全確実をうたった金融商品で大切な資産をだまし取られたという詐欺事件もあるようです。そのほとんどが、「元本保証で高利回り」のものということです。
そもそも、元本保証というのは銀行などの預貯金でしか存在しません。投資してリターンを期待するものに元本保証は付かないのです。
銀行や郵便局の預貯金は、利息がつく上に預金保険制度により元本が1,000万円まで保護されていますが、これは投資ではありません。過去には、郵便局の定額貯金で年8%という高利回りの時代もありましたが、現在の利息は雀の涙。モノやサービスの値段が上昇している現在では、金利は物価の上昇率を下回っており、銀行や郵便局に預けておくだけでは、実質資産は目減りしていることになります。そこで、多少のリスクを取ってでも、資産を増やせる可能性のある投資が注目されているというわけです。
リターンを得るにはリスクを負うことが必要
では、株式投資のリスクについて考えていきましょう。たとえば、株価500円の銘柄を5万円分購入したとしましょう。
この場合のリスクは、株価の変動(下落)です。500円で購入した銘柄の株価が100円値下がりし、400円になってしまえば、投資している資金は4万円に減ってしまいます。最大のリスクは、投資している会社が倒産してしまった場合です。最悪のケースでは、株価が0円になってしまいますので、投資している5万円がなくなってしまうことになります。
しかし、この損をするリスクをとって株を買うことで、株価が上昇して投資したお金が増える、リターンを得る可能性が生まれます。株価が600円になれば6万円に、1,000円になれば10万円になります。このように、リターンを得るにはリスクを負うことが必要なのです。
分散でリスクを抑えて効率的にリターンを目指す
このリスクは、投資対象ややり方次第で大きくなったり小さくなったりします。1つの会社の株に資産の100%を投資した場合、万一その会社が倒産すれば資産を全部失う可能性があります。
しかし、1社だけでなく、5社の株を買っていれば、万一その内の1社が倒産しても、被害は一部に抑えられます。
また、株式だけではなく、債券など他の資産と組み合わせることで株式だけに投資するよりもリスクは抑えられます。
このようなリスクを抑える投資のやり方を「分散投資」と呼びます。この分散投資を活用することで、漠然とリスクのある投資を行わず、効率的にリターンを目指すことができます。
分散投資には、他にも購入するタイミングを分散する方法もあります。一度に買ってしまって、そこが高値で失敗することもあるので、数回に分けて購入することでタイミングのリスクを分散させるというわけです。
その考え方で多くの人がおこなっているのが「つみたて投資」です。例えば、毎月1万円分買う、そういう投資法であり資産形成の手段です。
また、投資信託(ファンド)の場合は、様々な金融資産や多くの銘柄に分散投資している金融商品なので、そのもの自体が分散投資のための商品のようなものです。
ですので、この投資信託につみたて投資をする、というのがリスクを抑えてリターンを目指すのに適していると言えます。
投資は自己責任。損をしても誰も責任を取ってくれません。ですので、自分が投資している金融商品にはどのようなリスクが存在し、それをどこまで許容できるか、分散投資などでいかにリスクを抑えるかが重要なのです。
記事作成日:2024年9月25日