この記事でわかること
・配当とは、企業が株主に分配する利益のことで、決算に基づいて分配される
・多くの場合、中間期(第2四半期)や期末(第4四半期)に配当が支払われる
・配当を受け取るには、権利確定日(決算日)の2営業日前(権利付き最終日)時点で株式を保有していることが必要
配当とは
株式投資で得られる利益には主に2つあります。一つは、株価の安いところで買って、高いところで売ることによる「値上がり益」です。銘柄によっては、短期間で株価が2倍以上になるケースもあります。逆に、株価が買った値段よりも値下がりしてしまった場合には、損失が発生してしまいます。これが株式投資におけるメリットやデメリットです
一方、株価の変動にかかわらず、受け取ることができるのが「配当」です。配当とは、企業が株主に分配する利益のことです。利益は、株主が保有する株数に比例して分配されます。
分配時期は決算時です。また、大きな利益があった特別な時、会社の創立記念日などに、特別配当、記念配当という名目で分配されることもあります。
配当の額は、会社が利益を得られたかどうかで有無や増減が決定します。赤字の企業や上場したばかりのベンチャー企業などでは、配当を支払わない(無配)こともあります。また、会社によっては利益が出ていても配当金を支払わない場合や、逆に利益が出ていなくても支払われるケースもあります。
基本的に配当は企業の業績によって決まりますので、会社の決算が大きく影響します。株式市場に上場している企業には、年4回(3カ月ごと)の決算発表が義務づけられていますが、多くの企業は中間期(第2四半期)と期末(第4四半期)に配当を支払うようです。
配当を受け取るためのスケジュール
では、ここからは実際に配当を受け取るためのスケジュールを確認していきましょう。配当を受け取るためには、配当を出している企業の株を決められた期日までに購入しておく必要があります。
たとえば、3月が本決算で、決算期末(3月末)の株主に対して配当(期末配当)を予定している企業のケースでは、3月の最終営業日(権利確定日)の2営業日前(権利付き最終日)時点で株を保有している必要があります。
2024年3月の場合、権利確定日は3月29日(金)ですので、権利付き最終日の3月27日(水)に株を保有していればOKです。
つまり、権利付き最終日の翌営業日(権利落ち日)である3月28日(木)に株を売却したとしても、配当を受け取る権利は消滅しません。
また、この会社が2023年9月(中間期末)にも配当(中間配当)を実施する場合には、2023年9月29日(金)が権利確定日になりますので、2営業日前の9月27日(水)に株を保有している必要があります。
なお、実際に配当を受け取れる時期は、権利確定日の2~3カ月後になります。
配当と決算のスケジュール例
ちなみに、日本を代表する企業一つ、トヨタ自動車(7203)の場合、今期は2023年9月末(中間期)と2024年3月末(期末)に配当を予定しています。
配当の金額は公表されていませんが、前期(2023年3月期)は、中間期に25円、期末に35円(ともに1株当たり)でした。当時の同社の株価はおおむね2,000円程度でしたので、年間の配当利回りに換算すると約3%にもなります。
株価の変動リスクを回避するなら、決算発表前に売却するのもアリ
このように、配当を狙った投資では、投資先企業がいつの株主に対してどれくらいの配当金を支払うのかを把握しておく必要があります。
ちなみに、決算発表は決算期末後の45日以内に行われる必要があります。
決算発表の内容次第では、株価が大きく変動するリスクもありますので、短期投資で配当取りを狙うのであれば、配当の権利を得てから決算発表までの間にいったん売り逃げておくというテクニックもあります。
また、高い配当を出している企業の株価は、権利付き最終日に向けて、投資家の駆け込み買いで株価が上昇していくケースもあります。このような場合には、あえて配当の権利を取らずに売却し、値上がり益をゲットするという考え方もあります。
いずれにしても、配当は株式投資の大きなメリットのひとつです。お目当ての企業が、いつの株主に対して、どれくらいの配当を出すのかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
なお、多くの会社は決算短信などで配当の予想を出しています。決算短信に関しては、別記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
記事作成日:2023年8月17日