円高進行で恩恵を受ける
日本国内では物価が上昇していることから、日本銀行が追加の利上げを決めました。一方で、米国では物価上昇を沈静化させるために利上げを行ってきましたが、今年秋以降からは利下げに転じる見通しで、日米の金利差が縮小することが予想されています。それを受け、ドル円は7月10日の1ドル161円台から8月5日には141円台まで円高が進行しました。その後、一旦150円近くまで円安に戻りましたが直近では145円程度で推移しています。
一般的に、円高は輸出企業にとってはマイナスとなりますが、逆に円高によって恩恵を受ける企業もあります。
そこで今回は、円高進行が業績にプラスに働く、円高メリットの日本株3銘柄をご紹介します。
ニトリホールディングス<9843>
企業紹介
家具・インテリア販売チェーン最大手、海外に自社工場を持つ。傘下に島忠、外食事業も。
注目ポイント
家具・インテリア販売チェーンの「ニトリ」を全国に展開している他、海外店舗も拡大しています。同社は比較的安価な製品を取りそろえているため、国内の物価上昇に伴って節約志向が高まり、売上増加が見込まれています。
海外の自社工場で生産しているため、円高メリットの代表的な銘柄と見られています。円安の進行に伴って為替差損が発生しているため、円高の進行でどれだけ解消できるのか注目です。
株主優待は、買い物で10%の割引を受けられる買い物割引優待券です。3月を基準に、100株以上を保有している株主は5枚を受け取れます。さらに、1年以上の長期保有の株主は追加の買い物割引優待券を受け取れます。
また、毎年配当金が増える増配企業で、今期の配当金は152円、予想配当利回りは0.73%です。
株価動向
株価は2022年10月安値11,465円から今年3月25日に上場来高値24,420円まで上昇。その後7月10日安値16,355円まで下落しましたが、8月21日高値20,830円まで上昇しています。(2024/08/21現在)
ワークマン<7564>
企業紹介
作業服や関連用品の最大手、プライベートブランド商品や女性向け等を拡大。流通大手ベイシアグループの一社。
注目ポイント
作業服関連用品の専門チェーン「ワークマン」を展開。法人需要が回復傾向にあるものの、物価上昇によって消費マインドの低下は懸念されているようです。
多くの商品を海外から直接仕入れているため、円高が進行すれば売上原価の上昇幅も低下するため、業績への恩恵が期待されそうです。
株主還元策として配当金を実施しています。今期の配当金は68円、予想配当利回りは1.52%です。
株価動向
株価は2023年12月高値4,765円以降は下落が続き、今年6月19日安値3,450円まで下落しました。その後は、TOPIX対象銘柄の見直しへの思惑などからジリ高が続き、8月20日には4,525円まで上昇して年初来高値を更新しています。(2024/08/21現在)
ニチレイ<2871>
企業紹介
冷蔵倉庫と冷凍食品でトップ。冷凍食品、水産・畜産加工食品などの製造・販売で国内トップクラス。低温物流事業に強み。
注目ポイント
炒飯や唐揚げ等の冷凍食品をはじめとした加工食品は、国内外で売上高が順調に伸びています。円安進行で海外売上は増加している一方で、原材料や仕入れコスト、物流コストが増加しています。
為替が円高に進行すれば原材料や仕入れコスト等が減少するため、それが業績にどれだけ恩恵があるのか注目です。
株主還元策として配当金を実施しています。今期の配当金は82円、予想配当利回りは1.97%です。
株価動向
株価は今年2月頃から日本の株式市場の盛り上がりとともに上昇し、3月27日には上場来高値4,204円まで上昇しましたが、その後、7月8日安値3,393円まで下落し年初来安値を更新しました。そこからは上昇に転じ8月初旬の乱高下がありながらも、8月21日高値4,222円まで上昇しています。(2024/08/21現在)
記事作成日:2024年8月21日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。