電気・ガス料金にも関係する原油関連株
日本国内の物価はここ数年上昇傾向にあり、様々な物やサービスの価格が上昇しています。日用品はもちろんのこと、私たちが生活していく上で必要不可欠な光熱費として代表的な電気・ガス料金も値上がりしています。
物価の上昇によって以前よりも支出が増えてしまっている状況を少しでも楽にするために政府は期間限定で電気・ガス料金に対して補助金を行っていて、料金を引き下げています。その補助金も現在のところ、2024年5月で終了する予定となっています。
ところで、みなさんは電気・ガス料金が何を基準に決められているのかご存知ですか?電気・ガス料金は原油や液化天然ガス(LNG)等の価格から決められていて、これらの価格が変動することで電気・ガス料金も変動しています。
そこで今回は、電気・ガス料金の動きに関わっている原油関連の個別銘柄にはどんなものがあるのかを日本株で見ていきましょう。中には「株主優待」を実施している企業もあります。
INPEX<1605>
企業紹介
原油・ガス開発・生産の国内最大手。豪州でLNG(液化天然ガス)プロジェクト「イクシス」を操業。
注目ポイント
同社株を1年以上継続保有している株主に対して、オリジナル「QUOカード」贈呈の株主優待を実施しています。12月が権利確定月で、保有株数に応じて受け取れる「QUOカード」の金額は異なっています。
配当金は近年増配傾向にあり、足元の配当利回りは3%超えとなっています。また、同社のPBR(株価純資産倍率)は現在0.73倍と割安です。このPBR1倍割れの水準は、東証が資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請していることから、同社にはさらなる改善策が期待されそうです。
株価動向
株価は原油価格との連動が高いという特徴があります。2024年に入ってからは原油価格が上昇していることもあって、同社の株価も上昇が継続しています。2024年4月には2,500円台まで上昇していて、年初来高値を更新しています。
出光興産<5019>
企業紹介
石油元売り2位。昭和シェル石油と経営統合。
注目ポイント
抽選で「キッザニア東京・甲子園・福岡」入場券や番組収録の観覧チケット等を贈呈する株主優待を、3月と9月の1年に2回実施しています。権利確定月や保有株数に応じて受け取れる株主優待は異なっていますから、興味のある株主優待の権利確定月を確認しておきましょう。
同社のPBRは現在0.80倍ですので、PBR上昇に向けた取り組みが期待できるかもしれません。配当金は毎年業績に応じて異なっていますが、足元の配当利回りは3%超えとなっています。
株価動向
株価は2023年半ばの500円台から中長期的な上昇が継続しています。2024年に入ってからは順調に上昇推移が続いていて、4月には節目の1,000円を超える動きとなり、年初来高値を更新しています
ENEOSホールディングス<5020>
企業紹介
国内シェア5割の石油元売り首位。東燃ゼネラルと経営統合。
注目ポイント
同社は原油関連のエネルギー関連事業だけにとどまらず、半導体材料関連事業等も手掛けていることもあって、業績がエネルギー関連だけに左右されにくい点が魅力だと言えるでしょう。
同社に限らず、原油価格はドル建てですので、円安の進行や原油価格が上昇すると、業績の押し上げにつながります。為替動向にも注目でしょう。
配当金は毎年22円と変わらず、足元の配当利回りは2.9%程度です。同社のPBRは現在0.73倍ですので、PBR1倍超えに向けた対応策が期待できるかもしれません。なお、同社は株主優待は実施していません。
株価動向
2023年1月には株価400円台でしたが、中長期的な上昇トレンドが継続しています。原油価格の影響を受けているようで、2024年4月には750円台まで上昇していて、年初来高値を更新しています。
記事作成日:2024年4月9日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。