脱炭素に向けて電気自動車以外にも対象拡大
最近は街中で電気自動車(EV)をよく見かけるようになりましたね。日本も年々高温化していますが、世界各国の自動車メーカーが地球温暖化を食い止めるために、二酸化炭素(CO2)排出量の削減等の様々な脱炭素政策を行っています。
そうした背景から電気自動車の購入が推し進められているわけですが、電気自動車は通常の自動車よりも販売価格が高いためか、最近は販売台数が伸び悩む状況となっています。
電気自動車の普及が進まなければ排ガス規制を達成できないことになりますから、最近はハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)にも対象を拡大する流れになってきています。
そこで今回は、脱炭素時代に注目したい電気自動車やハイブリッド車に関連する個別銘柄にはどんなものがあるのかを日本株と米国株からみていきましょう。
トヨタ自動車<7203>
企業紹介
世界トップクラスの販売台数を誇る日本を代表する自動車メーカー。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)等で有名。
注目ポイント
代表的なハイブリッド車には、エコカーとして注目を集めて世界的に大流行となったハイブリッドカー「プリウス」の他、高級車ブランドとして人気を集める「LEXUS(レクサス)」や、SUVとして人気を集める「ランドクルーザー」等があります。
補助金の廃止等によって割高な価格であるEVの販売が世界的に頭打ちとなっていることもあって、気候変動対策の一環である排ガス規制等が緩和されてHVやPHVが容認される流れとなってHVやPHVの販売が好調となり、世界でもトップクラスの販売台数を誇っています。
株価動向
2023年3月の安値1,700円台以降、円安ドル高の流れと共に株価は上昇傾向が続き、3/27上場来高値3,891円となりました。その後、高値一服で3,700円割れまで下落しました。
本田技研工業<7267>
企業紹介
四輪自動車に加え、「スーパーカブ」等をはじめとした世界首位の二輪車や、小型ジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」等を手掛ける自動車メーカー。
注目ポイント
AV機器世界大手のソニーグループ(6758)と共同出資会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立。電気自動車ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を開発しており、「ジャパンモビリティショー2023」で一般公開。車内空間におけるエンターテインメントの展開で注目を集めました。さらに、国内自動車メーカーの日産自動車<7201>と、自動車の電動化や知能化に向けた戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結したことを発表して話題を集めています。四輪自動車は北米で、二輪車はアジアでの販売が好調。
株価動向
2023年1月の安値900円台から同年9月1,800円台まで上昇後、同年12月1,300円台まで下落。その後は上昇傾向で、3/22上場来高値1,959.5円となりました。直近はやや下落傾向で1,800円台となっています。PBR1倍割れ銘柄であり、その対策にも注目。
テスラ<TSLA>
企業紹介
世界最大級の電気自動車メーカーで、CEOはイーロン・マスク氏。EVの量産体制を早くから確立している他、高速の充電設備も展開。代表的な車種としては「モデル3」。
注目ポイント
世界トップクラスの電気自動車販売台数を誇っていますが、各国の補助金終了に伴って販売台数の伸びが鈍化傾向となっています。また、最近は中国電気自動車メーカーの猛追が厳しいことから販売価格の値下げ競争を強いられ業績悪化の一因となっており、投資判断の引き下げが相次いでいます。2023年に発売して注目を集めた「CYBERTRUCK(サイバートラック)」に続く、新型EVの投入が待たれています。
株価動向
2021年11月上場来高値約414ドルから、2023年2月約101ドルまで下落。その後、2023年7月約299ドルまで反発したものの、業績の鈍化に伴ってジリ安傾向が続き3/15には約165ドルまで下落しました。
記事作成日:2024年4月1日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。