第11回アマゾン・ドット・コム|AMZN【話題の米国企業を深堀り】

第11回アマゾン・ドット・コム|AMZN【話題の米国企業を深堀り】

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アマゾン・ドット・コムに生成AIの追い風

米国を代表する企業として、NYダウに採用

アマゾン・ドット・コムに生成AIの追い風

営業利益は3倍、純利益は黒字に浮上

米国の株式市場では、生成AI(人工知能)が大きなブームを巻き起こしていますが、アマゾン・ドット・コム<AMZN>もこの恩恵を受けています。2月1日の決算発表では、2023年第4四半期の純売上高が前年同期比14%増の1,700億ドル、営業利益が同4.9倍の132億ドル、純利益も同35.3倍の106億ドルと大幅に増加しました。この背景には、生成AI機能を追加したことが大きく貢献し、また、クラウドと電子商取引(EC)の両サービスが年末商戦期で好調に推移したことがあります。

 

2023年の通期業績でも純売上高は前年比12%増の5,748億ドルに、営業利益は同3.0倍の369億ドル、純利益は前年の純損失27億ドルから304億ドルの黒字に転換しています。

 

アンディ・ジャシー最高経営責任者 (CEO)は発表文で、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が長期的に顧客と機能提供に向き合い続けてきたとし、多くのサービスに生成AIを組み込む取り組みを挙げ、新機能は全体的な業績に反映され始めていると述べています。

 

大幅な人員削減も業績に寄与

ただ、好業績の背景には、生成AI機能の貢献やクラウドの好調さだけではなく、積極的な経費削減があります。2月初旬には、ヘルスケア部門で数百人規模の人員削減実施が明らかになりました。この人員削減では、アマゾン・ヘルス・サービス責任者のニール・リンゼー氏が2月6日、昨年買収した診療所チェーン、ワン・メディカルとオンライン薬局事業の「数百の職務」に影響すると、従業員宛て文書で明らかにしています。

 

1月には、プライム・ビデオ部門とスタジオ部門で数百人規模の人員削減が明らかになっており、ここ数カ月では、音声アシスタント「アレクサ」の担当部署や、音楽部門、プライム・ビデオ部門とスタジオ部門、ライブストリーミングサービス部門「Twitch(トゥイッチ)」も人員削減の対象になっています。

 

米国を代表する企業として、NYダウに採用

こうした経費削減の一方で、さまざまな新サービスの展開設備投資を積極的に進めています。ECの機能拡充では、2023年11月に韓国・現代自動車と提携し、2024年からアマゾンのウェブサイトで現代自動車の新車を購入できるようになりました。また、メタ・プラットフォームズ<META>とは、インスタグラムやフェイスブックの広告から直接アマゾンの商品を購入できる機能の試験導入も開始しています。

 

主力の一角を担うAWSでは、1月に機器・システム世界大手の独シーメンスとあらゆる規模や業界の企業が生成AIアプリケーションの構築と拡張を容易に行えるようにするための提携を行っています。設備投資面でも、日本で2027年までに東京と大阪の既存のクラウドインフラに2兆2,600億円を投資する計画を1月20日に発表しています。さらに、2月26日には、メキシコに50億ドル以上を投資する計画も発表しました。

 

アマゾン・ドット・コムはこのように、事業のリストラクチャリングを進めながら、業績を順調に伸ばしています。今や名実ともに米国の中心的な企業となったことで、2月20日にはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスがダウ工業株30種平均(NYダウ)構成銘柄に採用すると発表しました。今後とも、アマゾン・ドット・コムの動向には要注目です。

 

記事作成日:2024年3月28日

公開日:2024.4.9

米国企業を深掘り

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