出そろったM7決算。AI関連企業が躍進!
世界的なIT企業であるGAFAM(Google[Alphabet]、Amazon、Facebook[Meta Platforms]、Apple、Microsoft)にテスラとエヌビディアを加えたM7(マグニフィセント・セブン=壮大な7銘柄)の直近決算が出揃いました。
今回の決算では、エヌビディアやマイクロソフトといったAI(人工知能)関連企業が大きく業績を伸ばしています。それらの決算を受けて各社の今後の動向を考えてみましょう。
アルファベット|GOOGL
米グーグルの持ち株会社アルファベットの2024年第1四半期(1〜3月期)決算は、売上高が前年同期比15%増の805億3,900万ドル、純利益が同57%増の236億6,200万ドルと4四半期連続の増収増益となり、純利益は四半期としては過去最高益となりました。1株当たり純利益も前年同期の1.17ドルから1.89ドルに増加しました。
グーグル関連の売上高は703億9,800万ドルで、このうち広告売上高は同13%増の616億5,900万ドル、検索広告収入は同14%増の461億5,600万ドル、ユーチューブ広告収入は同21%増の80億9,000万ドルでした。広告料収入が順調に伸びています。AIブームとともに、グーグル・クラウドの売り上げも増加しており、同28%増の95億7,400万ドルとなっています。
なお、同社は今回、1株当たり20セントとなる初めての配当を発表しました。さらに、最大700億ドルの自己株取得も発表しています。
株価動向
株価は2023年年初の約85ドルから順調に上昇傾向を続け、5月20日には約179ドルと史上最高値を更新し、今後も業績と共に堅調な推移が期待されているようです。
アマゾン・ドット・コム|AMZN
アマゾン・ドット・コムの2024年第1四半期(1〜3月期)決算は、売上高が前年同期比13%増の1,433億1,300万ドル、営業利益が同3.2倍の153億700万ドルとなりました。純利益も同3.3倍の104億3,100万ドルとなり、1株当たり利益は前年同期の31セントから98セントに3倍以上増加しました。
業績をけん引したのは、生成AIブームによる需要で、クラウドコンピューティングのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高は同17%増の250億3,700万ドルへと大きく増加しました。なお、続く第2四半期の売上高見通しは、第1四半期と同程度の1,440億~1,490億ドルを予想しています。
株価動向
株価は2023年年初の約81ドルから順調に上昇傾向を続け、5月9日には約192ドルと史上最高値を更新しました。その後は米個人消費の減速懸念などから下落傾向が続いており5月28日には180ドルを割り込みました。今後はネット通販の回復と、AWSの伸びが注目されそうです。
メタ・プラットフォームズ|META
メタ・プラットフォームズの2024年第1四半期(1〜3月期)決算は、売上高は前年同期比27%増の364億5,500万ドル、営業利益が同91%増の138億1,800万ドルとなりました。純利益も同2.2倍の123億6,900万ドルとなり、1株当たり利益は前年同期の2.20ドルから4.71ドルに増加しています。同社が、将来の柱と位置付けている仮想空間「メタバース」のリアリティ・ラボ部門の売上高は、同30%増の4億4,000万ドルとなりましたが、38億4,600万ドルの損失を計上しています。
第2四半期の売上高見通しは、365億~390億ドルと予想しています。ただ、新たなAI製品やインフラ拡充のために、従来は300億~370憶ドルだった設備投資額の見通しを350億~400億ドルに引き上げています。
株価動向
株価は2022年11月安値約88ドル以降は上昇傾向で、5月25日に慎重見通しの決算で急落してからも回復基調となっています。今後AI投資が収益化してくればさらなる業績向上が期待できるかもしれません。
アップル|AAPL
アップルの2024年第2四半期(1~3月期)決算は、売上高が前年同期比4%減の907億5,300万ドル、営業利益は同8%減の484億8,200万ドルとなりました。純利益は同2%減の236億3,600万ドルで、1株当たり利益は前年同期と同額の1.53ドルでした。4四半期ぶりの減収減益決算となっています。
売上高の約半分を占める「iPhone」の売上高が、同10%減の459億6,300万ドルと減少したことが大きく影響しました。特に、中国での販売不振が大きく影響しています。
パソコン「Mac」関連の売上高は同4%増の74億5,100万ドル、「Apple Store」などのサービス関連の売上高は同14%増の238億6,700万ドルと増加しましたが、「iPad」関連の売上高は同17%減の55億5,900万ドル、「Apple Watch」などウエアラブル関連の売上高は同10%減の79億1,000万ドルと減少しました。
なお、今回の決算では、配当を4%増となる25セントに引き上げたほか、過去最大となる1,100億ドルの自己株取得も発表しました。4~6月期の売上高は1ケタ台前半の伸びを予想しています。
株価動向
株価は2023年1月安値約124ドルから同年7月高値約198ドルまで上昇。その後はおよそ165~195ドル程度でのもみ合いとなっています。今後は中国での販売の回復やAIの採用による売上増となるかが注目されます。
マイクロソフト|MSFT
マイクロソフトの2024年第3四半期(1~3月期)決算の売上高は、前年同期比17%増の618億5,800万ドル、営業利益は同23%増の275億8,100万ドルとなりました。純利益は同20%増の219億3,900万ドルで、1株当たり利益は前年同期の2.45ドルから2.94ドルに増加しました。生成AIのブームにより、クラウド事業関連が好調で、5四半期連続の増収増益となりました。
クラウドサービス「アジュール」を含むインテリジェント・クラウド部門の売上高は同21%増の267億800万ドルとなり、アジュール関連の売上高は同31%増加しました。「 Windows」関連の売上高は同11%増となっています。なお、同社では、アジュールの4~6月期の伸び率を30~31%と予想しています。
株価動向
株価は2022年11月安値約214ドル以降は上昇傾向が続いています。今後はAIの成長による果実が引き続き増加していくかどうかが注目されています。
テスラ|TSLA
テスラの2024年第1四半期(1~3月期)決算は、売上高が前年同期比9%減の213億100万ドル、営業利益は同56%減の11億7,100万ドルとなりました。純利益は同55%減の11億2,900万ドルで、1株当たり利益は前年同期の0.73ドルから0.34ドルに減少しました。約4年ぶりの減収減益となっています。
生産台数は「モデル3/Y」が41万2,376台、「その他のモデル」が2万995台の合計43万3,371台で、前年同期比で2%減少しました。納車台数は「モデル3/Y」が36万9,783台、「その他のモデル」が1万7,027台の合計38万6,810台で同9%減少しました。
同社では、ギガファクトリー・ベルリンの放火事件による操業停止や、紅海紛争による輸送の遅延などを理由にあげています。この結果、自動車の総売上高が同13%減の173億7,800万ドルと減少しています。こうした状況に対して、「より手頃な価格のモデル」の投入を急ぐ方針を示しています。
株価動向
株価は2023年1月安値約102ドルから同年7月高値約299ドルまで上昇。その後はジリ安が続き今年4月22日安値約139ドルまで下落しました。今後は電気自動車(EV)需要の陰りや中国市場などでの競争激化に対しての打開策や、自動運転などの新機軸の動向が注目されます。
エヌビディア|NVDA
エヌビディア2025年度第1四半期(2~4月期)の決算は、売上高が前年同期比3.6倍の260億4,400万ドル、営業利益は同7.9倍の169億900万ドルとなりました。純利益は同7.3倍の148億8,100万ドルとなり、1株当たり利益は前年同期の1.09ドルから6.12ドルに増加しています。
AIのブームを受け、AI向け半導体の需要が業績を押し上げました。データセンター部門の売上高は過去最高の226億ドルと同427%増加、ゲーム用チップの収益は同18%増の26億ドルとなりました。自動車部門の売上高も同11%増の3億2,900万ドルと好調でした。
第2四半期(5~7月期)の売上高は、280億ドルプラスマイナス2%を予想しています。また、今回の決算では、6月7日を効力発生日として1株を10株への株式分割を発表しました。同時に分割後の四半期配当を150%引き上げることも発表しています。
株価動向
株価は2022年10月安値約108ドルから上昇傾向が続き、好決算などにより今年5月29日高値1,154.92ドルと史上最高値を更新しています。今や世界中の株式市場を牽引するような存在となり、今後もエヌビディアの好調が続くかに世界中が注目しています。
記事作成日:2024年5月28日