組み入れ銘柄は将来的に需給面での恩恵も
3月25日から日本経済新聞社が「日経半導体株指数」の算出・公表を開始しています。これは、東京証券取引所(東証)に上場する主要な半導体関連30銘柄で構成する株価指数です。
主に、半導体製造装置、半導体、電子材料などの主要銘柄が組み入れられており、最大の構成比を占めるのは半導体製造装置最大手の東京エレクトロン<8035>とみられます。
日米ともに足元では、半導体株の上昇が全体相場をけん引する形になっており、これまで同様のものがなかった同指数に対する注目度は、今後大きく高まることになりそうです。
また今後は、日経半導体株指数をインデックスとした投資信託などが増加してくる可能性もありそうです。組み入れ対象銘柄にとっては、需給面でのプラス効果も期待できることになります。
東京エレクトロン<8035>
国内半導体製造装置の最大手企業。日経半導体株指数では最大の構成比を占めるとみられる。フォトレジスト(感光剤)の塗布や現像を行うコータ・デベロッパでは世界トップ級で、熱処理装置やエッチング装置などでも世界で高シェア。液晶を中心としたフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置も手掛ける。
信越化学工業<4063>
塩ビ樹脂の世界トップ企業となる化学メーカーだが、半導体シリコンウエハーでも世界トップクラスのシェアを誇る。半導体分野では、フォトマスクプランクス、フォトレジストでも世界第2位の位置づけ。高シェア製品を多く抱えていることで高い収益性が特徴。日経半導体株指数構成銘柄の中では時価総額第3位の水準。
レーザーテック<6920>
マスク検査装置(半導体の回路原版となる「フォトマスク」に電子ビームを用いて描画する装置)でトップクラスのシェアを占める半導体製造装置メーカー。とりわけ、EUV(極端紫外線)マスクブランクス欠陥検査装置では世界100%のシェアを持ち、蘭ASMLが手掛けるEUV露光装置にも唯一対応できる企業。半導体の微細化進展に伴い活躍余地が広がっている状況にある。東京株式市場では連日売買代金がトップ水準。
ローム<6963>
特定の目的や製品向けにカスタマイズされたカスタムLSIに強みを持つ半導体メーカー。2023年以降の株価パフォーマンスは極めて低水準、出遅れ感の強い半導体関連株。パワー半導体分野に注力中、Sic(シリコンカーバイド)パワー半導体では国内シェアトップクラスで世界的にも10%強のシェア。出資先企業である東芝とパワー半導体生産で連携。
SCREENホールディングス<7735>
洗浄装置で強みを持つ半導体製造装置メーカー。一度に多数のウエハー(シリコン単結晶でできた薄い板)をまとめて洗浄する「バッチ洗浄装置」、ウエハーを1枚ずつ洗浄する「枚葉洗浄装置」ともに世界トップクラスのシェア誇る。TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)向けの構成比が業界内では相対的に高いとされ、TSMCの熊本工場新設によるメリット期待は高い。2024年1月に新工場稼働で生産能力は2割増強。
ディスコ<6146>
半導体チップをシリコンウエハー上から切り出すダイシング装置、ウエハーを研削・研磨加工するグラインディング装置で世界トップ企業。とりわけ、AI半導体に使用されているHBM(高帯域幅メモリ)向け装置ではシェア100%と見られる。半導体製造装置メーカーの中では、生成AI市場拡大でメリットを最も享受し得る銘柄と位置付けられる。
アドバンテスト<6857>
半導体テスタ(試験装置)の最大手企業。メモリテスタ、SoC(システム・オン・チップ)テスタともに世界で過半のシェアを握る。中国企業向けに強いとされるほか、エヌビディア向けの実績では他を圧倒。さらに、AI半導体で使用されるHBMの検査にもメモリテスタが必要となるため、生成AI市場の拡大メリットは大きいといえる。
記事作成日:2024年4月2日