米国大統領選挙の年は株価が上昇する?市場に与える影響とは
11月5日に向けた大統領選の行方に注目
2024年は、米国の大統領選挙の年です。4年に1度行われる大統領選挙は、米国の今後の方向性にかかわる一大イベントであり、米国民の関心も非常に高く、それだけに株式市場にも大きな影響を与えると言われています。まずは、簡単に米国の大統領選挙について説明します。
一般に「大統領選挙」と言われていますが、正確には「大統領・副大統領を選出するための選挙」です。投票日は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と法律で決められており、今年は11月5日が投票日になります。
事前に登録した18歳以上の米国民に投票の権利がありますが、総得票数の多い候補者が大統領に当選するわけではありません。簡単に言えば、大統領候補者が各州と首都のワシントンを対象に「陣取り合戦」を行います。
各州とワシントンには、人口などに応じて割り当てられた「選挙人」がいます。投票は州ごとに行われ、候補者はこの選挙人の獲得を目指します。州によって選挙人の数は異なり、多くの州では、勝者が州の選挙人をすべて獲得する方式となっています。
たとえば、カリフォルニア州には54人の選挙人がいますが、勝者となれば、54人の選挙人を獲得できます。結果的に、全米538人の選挙人のうち、過半数の270人以上を獲得した候補者が次期大統領になるわけです。
今後の主なスケジュール
3月5日 | スーパーチューズデー テキサス州やカリフォルニア州など予備選挙が集中、候補者選びの山場 |
7月15-18日 | 共和党大会 党の候補者が決定 |
8月19-22日 | 民主党大会 党の候補者が決定 |
11月5日 | 大統領選挙 投開票日 |
2025年1月20日 | 大統領就任式 |
投票前には、景気を押し上げる新しい政策も
米国は事実上、民主党と共和党の2大政党となっています。1月29日現在、大統領選の候補者は、民主党ではジョー・バイデン現大統領ですが、共和党はドナルド・トランプ前大統領とヘイリー元国連大使が、候補者になるためにしのぎを削っています。
大統領選挙は一大イベントであり、今後の米国の方向性を示すものになるため、米国の株価にも大きな影響を与えます。特に、今回のジョー・バイデン大統領のように、現職の大統領が2期目を目指す大統領選挙では、株価は歴史的に強気シナリオが優勢となります。これは、現職大統領は通常、投票前に景気とセンチメントを押し上げるために新しい政策を打ち出したり、減税を推し進めたりするためだと言われています。
総じて、大統領選が行われた年の株価は上昇しています。過去18回の大統領選挙の年では、NYダウは13回値上がりしており、年間の騰落率は平均で4.9%の上昇となっています。2008年のバラク・オバマ大統領誕生の年には、NYダウは33%も下落しましたが、これはリーマン・ショックの影響によるものでした。
候補者の政策に関連するセクターに追い風
もっとも重要なのは、民主党・共和党の両候補者が、どのような政策を打ち出すかでしょう。その政策内容が、株価上昇の大きな材料になります。
たとえば、気候変動対策やエネルギー政策で、両党の政策に大きな違いがあれば、その違いが材料になることもあります。積極的に気候変動対策を進める政策を打ち出せば、恩恵が生まれるとの思惑により、関連セクターの株価が上昇する可能性が高まります。
また、バイデン大統領とトランプ前大統領を例にあげると、対中貿易政策では、中国に対して両者とも厳しい姿勢を示していますが、税制では、バイデン大統領は企業や富裕層への「増税」の必要性を主張しているのに対して、トランプ前大統領は経済活性化のための大幅「減税」を主張しています。
気をつけなければいけないのは、日本でも時々起こりますが、大統領と議会の「ねじれ現象」です。大統領と違う政党が議会で多数を占めていれば、当然、大統領が進めようとする政策が順調に行われるとは限りません。こうした場合には、政治が混迷状態に陥る可能性があり、株価にも悪影響が出る場合があるので注意が必要でしょう。
いずれにしても、今年は大統領選の年であり、過去の傾向からは株価は上昇トレンドを辿る傾向が強いと見られています。2024年の米国株市場には要注目です。
記事作成日:2024年1月29日