テスラが大幅減益でマグニフィセント・セブンから脱落の声も
世界的なIT企業であるGAFAM(Google[Alphabet]、Amazon、Facebook[Meta]、Apple、Microsoft)にテスラとエヌビディアを加えたマグニフィセント・セブン(壮大な7銘柄)が注目されています。ただ、直近決算では、テスラが大幅な営業減益となり、マグニフィセント・セブンからの脱落が懸念されています。直近の決算内容をまとめました。
アルファベット(旧Google)|GOOGL
米グーグルの持ち株会社であるアルファベットの2023年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比13%増の863億1,000万ドルとなり、1株あたり純利益は前年同期の1.06ドルから1.64ドルに増加しました。2023年通年でも、売上高は前年比9%増の3,073億9,400万ドルとなり、1株あたり純利益でも前年の4.56ドルから5.80ドルに増加しています。
第4四半期のグーグルの業績では、広告事業売上高が前年同期比11%増の655億1,700万ドルに増加しました。また、クラウドコンピューティング事業の売上高も前年同期比26%増の91億9,200万ドルと好調に推移しました。
1月18日には、英国のロンドン郊外に10億ドルを投じてデータセンターを建設すると発表しています。
アマゾン・ドット・コム|AMZN
アマゾン・ドット・コムの2023年10〜12月期の売上高は14%増のおよそ1,700億ドルで着地しました。2023年通年の売上高も前年比12%増の5,748億ドルと好調でした。営業利益も前年同期比の27億ドルに対し、132億ドルに増加。通年でも前年の122億ドルに対し、369億ドルに増加しました。
年末商戦が反映される10~12月期のオンラインストア売上高が前年同期比9%増の705億ドルと伸びたことや、クラウドサービス部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売上高が前年同期比13%増の242億ドルと好調だったことが、業績をけん引しました。2024年1~3月期についても、売上高が最大1,435億ドル、営業利益が70億~120億ドルとなる強気の見通しを出しています。
2月1日には、生成人工知能(AI)を搭載したショッピングアシスタント「ルーファ(Rufus)」をモバイルアプリに導入すると発表しています。
メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)|META
メタ・プラットフォームズの2023年10〜12月期の売上高は広告収入が増加して堅調に推移したことで、前年同期比25%増の401億1,100万ドル、通年でも前年比16%増の1,349億100万ドルと大幅に増加しました。営業利益も163億8,400万ドルと前年同期の2.5倍以上に増加し、通年でも467億5,100万ドルと前年比1.6倍になりました。
同社は、初めてとなる四半期配当(1株当たり0.5ドル)の実施と、500億ドル規模の自社株買いも発表しています。また、2024年1~3月期の売上高も345億~370億ドルと強気の見通しを発表しています。
アップル|AAPL
アップルの2023年10〜12月期決算は売上高が前年同期比2%増の1,196億ドルとなりました。アップルTV+、音楽、iCloudストレージ、アップストアを含むサービス事業が業績をけん引しました。
iPhoneの売上高は前年同期比6%増の697億ドル、パソコン「Mac」の売上高は同微増の77億8,000万ドル、タブレット端末「iPad」の売上高は同25%減の70億2,000万ドル、ワイヤレスイヤホン「AirPods」と「Apple Watch」を含むウェアラブル部門の売上高は同11%減の119億5,000万ドルとなる中、サービス事業の売上高が同11%増の231億2,000万ドルと健闘しました。
2024年1~3月期は、売上高が約900億ドル、iPhone売上高が約460億ドルになるとの弱気の見通しを示しています。
マイクロソフト|MSFT
マイクロソフトの2023年10~12月期の売上高は前年同期比18%増の620億2,000万ドル、営業利益は同33%増の270億3,200万ドルでした。人工知能(AI)を活用する新サービスが、クラウドや基本ソフト(OS)「Windows」のサービスで顧客拡大に寄与しました。クラウドサービス「Azure(アジュール)」を含むインテリジェンス・クラウド部門の売上高は同20%増の259億ドルとなり、アジュールの売上高は同30%増と大幅に伸びています。
ウィンドウズやゲーム事業を含むモアパーソナルコンピューティング部門の売上高は同19%増の169億ドル。10月に買収したアクティビジョン・ブリザードの業績が貢献し、家庭用ゲーム機「Xbox」のコンテンツとサービスの売上高が同61%増となりました。
「Microsoft 365(旧Office 365)」やビジネス向け交流サイト「LinkedIn(リンクトイン)」などのプロダクティビティー&ビジネスプロセス部門の売上高は同13%増の192億ドルとなりました。
テスラ|TSLA
テスラの2023年10~12月期売上高は前年同期比3%増の251億6,700万ドルでしたが、営業利益は同47%減の20億6,400万ドルと大幅減益となりました。
主力車種である「モデル3」や「モデルY」などの生産台数は前年同期比13%増の49万4,989台、販売台数は同20%増の48万4,507台と増加したものの、BYDなど中国EVメーカーの値下げ攻勢により、価格競争による利益の悪化が背景にあります。加えて、2023年11月から新モデル「CYBERTRUCK(サイバートラック)」の出荷を開始しましたが、販売は芳しくありません。
テスラは、2024年の見通しについて、「車両台数の伸び率は2023年の実績よりも著しく低くなる」としており、市場では「マグニフィセント・セブンから脱落する」との観測も出ています。
エヌビディア|NVDA
エヌビディアの直近に発表されている決算は2023年8~10月(第3四半期)で、売上高は181億2,000万ドルと前年同期比で3倍以上となっています。営業利益は104億1,700万ドルと前年同期比で17倍超の好決算でした。
データセンター事業の売上高が同2.7倍の145億1,000万ドルと業績を押し上げました。加えて、ゲーム向け半導体の売上高も同81%増の28億6,000万ドルと好調でした。
第4四半期(2023年11月~2024年1月)の発表は2月21日の予定ですが、事前予想では、売上高見通しが約200億ドルと好調が持続するとの見方を示しています。
なお、2024年1月8日には、AI(人工知能)対応のデスクトップ型PC向け画像処理半導体(GPU)3種類の新製品を発表しています。
記事作成日:2024年2月8日