米国企業の2023年4~6月期の決算が8月中旬にほぼ出そろいました。
新型コロナウイルスの影響から立ち直り、総じて好調な決算でしたが、インフレの影響を受けて明暗が分かれています。
今回は、GAFAM<アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)>を中心に、米国の注目企業の決算内容を見ていきましょう。
アップル(AAPL)
アップルの4~6月(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比1.4%減の818億ドルと3四半期連続の減収ながら、1株当たり利益は1.26ドルと5%の増加となりました。
主力の「iPhone」の売上高が同2.4%減の396億6,900万ドル、アップルTVプラスなどのサービス部門の売り上げは好調で、同8.2%増の212億ドルと業績を支えました。
新型コロナからの経済回復が進む中国市場で、「Apple Watch」やワイヤレスイヤホン「AirPods」などウェアラブル製品が好調で、中国での売上高は同約8%増加、インドでは「iPhone」販売が記録を更新しました。
また、7~9月期には「iPhone 15」と「Apple Watch」の新製品の発表があると噂されています。7~9月(第4四半期)の業績についてアップルでは、「iPhone」とサービス部門の業績が前年同期比で改善すると予想しています。
アマゾン・ドットコム(AMZN)
アマゾン・ドットコムの4~6月(第2四半期)決算は売上高が前年同期比11%増の1,344億ドルと好調でした。中でも、主力のオンラインストア事業の売上高が同4%増の530億ドルと好決算を支えました。
新たな事業の柱となっているクラウド部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売上高も同12%増の221億ドルと好調を持続しています。また、広告販売が同22%増の107億ドル、販売業者サービス売上高が同18%増の323億ドルと大きく伸びています。
なお、今後のアマゾンは、7~9月期売上高見通しに関して、7月に実施した有料会員向けセール「プライムデー」の売り上げが好調だったことから1,380億~1,430億ドルと増収を見込んでいるほか、人工知能(AI)で先行するグーグルやマイクロソフトに対抗する独自サービスに注力しています。
アルファベット(GOOGL)
米グーグルの持ち株会社アルファベットの4~6月(第2四半期)決算は、クラウドサービスと広告収入が順調で、売上高は746億ドル、パートナーなどに支払われるトラフィック獲得コスト(TAC)を除いたベースでも620億ドルという好業績になりました。
「グーグルクラウド」の売上高は前年同期比28%増の80億3,100万ドル、動画サイト「ユーチューブ」の広告収入は同4.4%増の76億6,500万ドルでした。
対話型AI(人口知能)「ChatGPT」が注目され、マイクロソフトなどとの競争が激化する中で、同社の検索事業はシェアを維持しており、検索事業での広告収入は堅調に推移しています。同社では、新たにAIを活用した検索の取り組んでおり、広告収入の一段の増加を目指しています。
メタ・プラットフォームズ(META)
メタ・プラットフォームズの4~6月(第2四半期)決算は、売上高は前年同期比11%増の320億ドルと好調でした。広告収入が同12%増加となったことに加えて、昨秋以来の大幅な人員削減を伴うコスト削減が好業績につながりました。
ただ、不安材料もあります。VR・AR(拡張現実)端末を手がけるリアリティーラボ部門は、売上高が前年同期の4億5,200万ドルから2億7,600万ドルに減少、37億ドルの赤字となっています。
ただ、新しい短編動画サービス「リール」の広告収入増加から、7~9月期の売上高見通しについては320億~345億ドルと好結果を予想しています。
マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトの4~6月(第4四半期)決算は、売上高は前年同期比8%増の562億ドルと好調でした。クラウドサービス「アジュール」含むインテリジェンス・クラウド部門の売上高が同15%増の240億ドルと業績をけん引しました。
一方、パソコン事業は基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の需要が低迷、業務用ソフト「オフィス」の伸びも緩やかなものになりました。
7~9月期の見通しでは、アジュールの売上高は横ばい圏で推移する見通しですが、「ウィンドウズ」などパソコン事業で減少を見込んでいます。
マイクロソフトは、対話型AI(人口知能)「ChatGPT」を開発した新興企業オープンAIのモデルに基づいた、一連の新たなAIプログラムをマイクロソフトの主要製品ラインの大半で発表しており、注目されています。
インテル(INTC)
インテルの4~6月(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比15%減の129億ドルでしたが、純利益は15億ドルとなり、1株利益は13セントと予想外の黒字となりました。
中核部門のパソコン用チップ事業の売り上げが同12%減の67億8,000万ドルと持ち直しの兆しを見せたことに加え、データセンター事業の売り上げが40億ドルと市場予想を上回りました。
半導体不足の中で、受託生産部門では他社製チップを組み合わせてより高性能なチップを組み立てる「先端パッケージング」により、売上高が大幅に増加しました。
7~9月期の売上高は139億ドルを見込んでいます。パソコン用チップ事業が需要低迷期を抜け、回復期に入ってきていると予想しています。
マクドナルド(MCD)
マクドナルドの4~6月(第2四半期)決算は、世界既存店売上高が前年同期比11.7%増と好調でした。世界的なインフレの中、比較的安価なメニューが顧客獲得につながりました。
米国では、鶏肉やチーズなどの主要食材のコストが低下したことも寄与して、既存店売上高は同10.3%増となりました。国外市場の既存店売上高も好調で、特に英国やドイツ、中国が好調でした。
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
日用品大手プロクター・アンド・ギャンブルの4~6月(第4四半期)決算は、売上高が前年同期比5%増の205億5,000万ドルと好調でした。
インフレの影響で日用品の需要は低迷しているものの、数回にわたって値上げを実施したことが業績を押し上げました。
なお、同社では通期(2023~2024年度)の1株当たり利益を前年度比6~9%増の6.25~6.43ドルと予想しています。
記事作成日:2023年8月15日