IT企業の雄である5社、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)は、注目の生成系AI、自動運転などでも圧倒的な存在感を放っています。
今回は生成系AI、自動運転に関するGAFAMの近況を追っていきます。
アルファベット | GOOGL
アルファベット傘下のGoogle(グーグル)は、3月に生成系AIのサービス「Bard(バード)」の実験版を米国と英国で公開しました。マイクロソフトに一歩出遅れた格好ですが、将来的には検索エンジンとしてシェアNo.1のGoogle検索に搭載する計画があるとも報じられています。
Bardは意識を持ったAIとも評された大規模言語モデルLaMDAを利用しているほか、学習データはマイクロソフトの「Bing」よりも最新であるため、本格的に普及するとGoogleの優位性が高まりそうです。
自動運転に関しては、アルファベットはGAFAMの中では圧倒的にリードしています。2016年に自動運転開発部門が分社化して誕生したWaymo(ウェイモ)は完全無人の自動運転タクシーを商用展開しています。
展開エリアは拡大しており、当初はアリゾナ州フェニックスで展開をはじめ、2022年にはカリフォルニア州のサンフランシスコ、今度は同州最大都市のロサンゼルスでサービスを展開する予定となっています。
アマゾン・ドットコム | AMZN
アマゾン・ドットコムは4月13日、生成系AIを利用できる新サービス「Bedrock(ベッドロック)」を発表し、生成系AI市場に本格参入しました。
同サービスは現在、一部のアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)の顧客に限定されていますが、今後はAWSの顧客はBedrockを使用してチャットボットの構築やテキストの生成、画像の作成を行うことができるようになります。
アマゾン・ドットコムが公表した年次株主書簡では、生成AIと大規模言語モデル(LLM)に多額の投資を行うと記されています。
自動運転に関しては、小型の自動運転配送ロボット「Scout(スカウト)」を開発し、2019年から公開実験を行い、2022年10月に公開実験を終了させています。
また、アマゾン・ドットコム傘下のズークスは2月、自動走行型ロボットタクシーが公道での乗客輸送を行う完全自動運転に成功したことを発表しています。現時点では従業員向けのサービスですが、商業化も視野に入れています。
メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック) | META
メタ・プラットフォームズは現在、一般ユーザー向けの生成系AIの提供は行っていませんが、研究者向けに大規模言語モデル「LLaMA」を2月24日に無償で公開しました。
この公開をきっかけとして、OpenAI社の「ChatGPT」に匹敵する性能がある「LLaMA」をベースとしたオープンソース(ソースコードを公開し、改変や再配布が認められている)ソフトウェアが多数登場しています。研究者に公開することで生成系AIの開発を進めています。
GAFAMの中で唯一、自動運転市場に参入していないのがメタ・プラットフォームズです。
ただ、自動運転レベル4以降はすべての乗員が運転から解放されるため、車内における移動時間が注目されます。同社はメタバース(インターネット上の仮想空間)に注力する方針を打ち出しており、今後は車内でのメタバース関連で自動運転市場に絡んでくる可能性が考えられます。
アップル | AAPL
アップルは、GAFAMの中で唯一、「ChatGPT」のような生成系AIに関する開発情報を発表していません。
しかし、iPhoneやiPadなどに搭載されたバーチャルアシスタントアプリの「Siri」があり、様々な音声入力情報や応答テキストデータが蓄積されています。
これまで生成系AIに関する情報がなかったため、生成系AI関連の情報が発表された場合は大きなインパクトがあるかもしれません。
自動運転に関しては、業務用向けの完全自動運転車を開発中と噂されてきましたが、2022年12月に高速道路における条件付き自動運転を実現できる車両で、消費者向けのモデルを目指していることが報じられています。同車の発売目標時期は約1年延期されて2026年とされています。
マイクロソフト | MSFT
マイクロソフトは、世界中で話題となっている生成系AI「ChatGPT」を開発したOpenAI社に多額の投資を行っており、OpenAIとの連携を武器に生成系AIの開発においてはGAFAMの中で一歩リードしています。
マイクロソフトの検索エンジン「Bing」へのAI搭載に続き、TeamsやOutlook、Word、ExcelなどのMicrosoft 365サービスにAIを搭載したMicrosoft 365 Copilotを発表しています。
自動運転に関しては、米ゼネラル・モーターズ(GM)とGM傘下で自動運転車を手掛けるクルーズと長期的な戦略的提携を結んでいるほか、自動車メーカーや自動運転システムを開発する企業、空飛ぶクルマと呼ばれる電動垂直離着陸(eVTOL)機を開発する企業と連携を進めています。
今後もマイクロソフトの潤沢な資本力や技術力、製品などを背景に様々な企業と提携を進めていくことが見込まれており、自動運転市場での存在感を示しそうです。
記事作成日:2023年4月19日