💡この記事のポイント
✅AI(人工知能)のメリットを受ける企業が増加している
✅DeepSeekショックの動向には注意
✅半導体以外のAI周辺銘柄に注目
🔎登場する銘柄
✅コンサル:アクセンチュア
✅ソフトウェア:セールスフォース、パランティア、シノプシス
✅電力:ヴィストラ、コンステレーション・エナジー
AIのメリットを受ける企業が拡大
2024年は、AI関連銘柄が米国株市場をけん引しました。特に、高度なAIアプリケーションを実行するためには大量の処理能力が必要なため、AI半導体の需要拡大を背景に先端半導体メーカーのエヌビディア<NVDA>などが株価を大きく伸ばしました。
すでに、AIは様々な業種で活用が進んでいますが、その裾野は非常に広く、2025年は半導体メーカーだけではなく、AIを活用する企業が業績を伸ばし、株価を上昇させる可能性を秘めています。すでに業績や株価にAIの好調さが反映されはじめている銘柄もあるようですので早めにチェックしておきましょう。
直近に、中国の生成AIモデルの台頭でAI関連株が急落となる「DeepSeekショック」で、エヌビディアなどAI関連株や電力株などが大幅安となりました。これにより今後のAI関連の動向が大きく変動する可能性があることには注意が必要です。
ただし、その中でもAIを利用するソフトウェア株などが買われる動きもあり、AI関連株の中でも選別されていく可能性もありそうです。
そこで今回は、半導体以外で期待のAI周辺銘柄をピックアップしました。
アクセンチュア<ACN>
経営コンサルティングやテクノロジーサービスなどを展開。120カ国以上に9,000以上のクライアントを有しています。2024年12月には、生成AI、ディープフェイク対策、耐量子安全性に基づいたデータセキュリティソリューションを活用した新しいサービスなどを発表。また、インド最大のがん治療ネットワークと共同で高度なAIを活用し、がんの研究と治療を加速させていることを発表しています。
すでに様々なAIを活用したサービスを提供していますので、今後はさらにAIによる恩恵を受けていきそうです。
2024年9-11月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比9%増の176億ドル、営業利益は同15%増の29億4,848万ドルと好調でした。
株価は2024年3月高値387.51ドルから5月安値278.69ドルまで調整し、その後は10月高値377.33ドルまで盛り返しています。11月以降は345~370ドル程度で推移しています。
セールスフォース<CRM>
クラウド型のCRM(顧客管理)プラットフォームを手がけています。生成AIを利用して、見込み客の関心に合ったメッセージを作成し、相手の目に触れる可能性が最も高いチャネルで配信しています。また、AIが生成するツールを利用して、顧客満足度が上がる個別化したサービスの提供を進めています。
特に自立型のAIエージェントである「エージェントフォース」は、指示を出さなくても自らの判断で作業をするアプリケーションで、普及に強気な見方をしています。2025年には10億のAIエージェントが稼働すると予測しています。
2024年8-10月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比8.3%増の94.4億ドル、営業利益は同26.1%増の18.9億ドルと好調でした。
株価は2024年5月安値212ドルから12月上場来高値369ドルまで上昇しました。その後は1月13日安値313.8ドルまで調整し、直近は350ドル前後まで戻しています。
ヴィストラ<VST>
コロンビア、カナダ、および日本で製品とサービスを提供しており、約430万世帯の家庭、商業、工業分野の顧客に電気と天然ガスを販売しています。
これまで、電力会社のような公益事業セクターはディフェンシブなセクターと考えられており、安定的な業績推移が特徴と捉えられてきました。ところが、AI開発とそれに伴うデータセンター建設増加により、電力需要が大幅に増加したことで、一躍AI関連として注目を浴びています。
2024年7-9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比53.9%増の62.8億ドル、営業利益は同3.1倍の25.8億ドルと大きく伸びました。
株価は2024年8月安値66.5ドルから11月高値168.67ドルへ上昇しました。その後12月安値131.64ドルまで下落しましたが、今年1月23日に一時199.84ドルまで上昇して上場来高値を更新しました。その後、DeepSeekショックで1月27日安値132.59ドルまで反落しました。
コンステレーション・エナジー<CEG>
CO2を排出しないカーボンフリーエネルギーの米国最大の生産者で、全米の家庭や企業向けの電力およびエネルギー製品とサービスを提供する小売りサプライヤーです。2,000万以上の家庭や企業に電力を供給し、32,400メガワット以上の容量と90%のカーボンフリーの年間出力により、クリーンエネルギーへの移行を進めています。
AI関連の電力需要の増加によって、業績が大きく伸びており、株価も上昇しています。1月には発電所の開発や運営を手がける非上場のカルパインを164億ドルで買収することを発表しています。
2024年7-9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比7.2%増の65.5億ドル、営業利益は同50.2%増の14.6億ドルと大幅に伸長しました。
株価は2024年8月安値155.6ドルから10月高値288.75ドルへ上昇しました。その後12月安値219.64ドルまで下落しましたが、今年1月23日に一時352ドルまで上昇して上場来高値を更新しました。その後、DeepSeekショックで1月27日安値270.44ドルまで反落しました。
パランティア・テクノロジーズ<PLTR>
情報分析のためのソフトウェアプラットフォームを手がけています。特に、パブリックネットワークとプライベートネットワークの両方を通じてAIの創造と管理を実現するソフトウェアを構築、提供しています。
2024年12月には、米国陸軍とのパートナーシップ契約を延長したと発表しています。米国陸軍は同社のソフトウェアを活用して、データとAIの使用方法を変革し、重要な任務をより効果的に遂行し、部隊全体での意思決定を迅速化することを可能にしてきました。契約延長により、陸軍全体でのデータ運用ができるAI機能が提供されます。
株価は2024年1月安値15.66ドルから12月高値84.8ドルまで上昇しました。その後は今年1月13日安値63.4ドルまで下落しましたが、1月24日高値82.24ドルまで戻した後、1月27日安値72.67ドルまで反落しました。
シノプシス<SNPS>
半導体集積回路(IC)の設計、テストのためのEDA(電子設計自動化)ソフトウェアなどを手がけています。2024年12月には、デバイス上でAI処理を行うエッジAIのためのソフトウェアやハードウェアを開発する「SiMa.ai」と戦略的提携を発表しています。
これは、自動車メーカーが次世代のAI対応機能の開発を加速させるためのソリューションを提供するものです。
2024年8-10月期(第4四半期)決算は、売上高が前年同期比14.9%増の16.3億ドルと過去最高を記録しましたが、営業利益は同26.7%減の3.1億ドルと大幅な減益となっています。
株価は2024年2月に上場来高値629.38ドルをつけましたが、9月安値457.52ドルまで下落。その後12月高値592.99ドルまで戻しましたが、直近は480ドル前後まで下落後、550ドル程度まで反発しました。その後、DeepSeekショックで1月27日安値502.19ドルまで反落しました。
記事作成日:2025年1月28日