投資環境が不透明な時こそ「連続増配銘柄」
連邦準備理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを実施しました。
また、11月には大統領選挙も控えていることから、経済と政治の両面で先行きが不透明な状況となっています。
こうした状況では、高配当銘柄や安定して配当を継続している会社が注目される傾向があります。そこで今回は、50年以上にわたって連続して増配を続けている銘柄を取り上げてみました。
コカ・コーラ<KO>
ノンアルコール飲料などの製造・販売・流通をグループで手がけています。2024年第2四半期(4-6月期)決算は、売上高が前年同期比3%増の123.6億ドル、営業利益が同10%増の26.3億ドル、一株当たり利益は同7%増の0.84ドルとなりました。
為替や買収等の影響を除いたいわゆるオーガニック売上は15%の増収となっています。北米では販売数が落ち込みましたが、中南米とアジアがカバーしました。
通期のオーガニック売上高見通しを前回予想の8~9%増から9~10%増、一株当たり利益の見通しを同4~5%増から5~6%増に引き上げています。
60年以上連続増配しているコカ・コーラの年間配当は一株当たり1.94ドルで、税引き前の配当利回りは2.76%です。なお、第3四半期決算は10月23日を予定しています。
株価は2023年10月安値51.55ドルを起点に上昇が継続しています。特に、今年7月半ば頃から上昇スピードを速め、9月4日には上場来高値となる73.53ドルをつけました。その後はおよそ70~72ドル程度での推移が続いています。
ウォルマート<WMT>
小売店ウォルマートの運営などを手がけています。2025年度第2四半期(5-7月期)決算は、売上高が前年同期比4.8%増の1,693億ドル、営業利益が8.5%増の79億ドル、一株当たり利益は0.56ドル(前年同期は0.97ドル)となりました。米国市場の売上高が前年同期比で4.2%増加した上、オンライン注文が同22%も増加しています。
通期の売上高見通しを前回予想の3~4%増から3.75~4.75%増に、一株当たり利益も同2.23~2.37ドルから2.35~2.43ドルに引き上げました。
50年以上連続増配しているウォルマートの年間配当は一株当たり0.83ドルで、税引き前の配当利回りは1.01%です。
株価は2022年5月安値39.09ドル以降は上昇傾向が続き、直近では今年8月15日の第2四半期決算発表を受けて60ドル台後半から74ドル程度まで大きく上昇しました。その後9月25日上場来高値81.6ドルまで上昇し高値圏で推移しています。
プロクター・アンド・ギャンブル<PG>
化粧品、ヘルスケア用品、衣料用洗剤、衛生用品などの消費財の製造を手がけています。2024年第4四半期(4-6月期)決算は、売上高が前年同期比横ばいの205.3億ドル、営業利益は同7%減の38.8億ドル、一株当たり利益は1.27ドル(前年同期は1.37ドル)となりました。
これにより、通期決算は売上高が前期比2%増の840.3億ドル、営業利益が同2%増の185.4億ドル、一株当たり利益は6.02ドル(前期は5.90ドル)となりました。通期配当を前期から0.1480ドル多い3.8286ドルへ増配しています。
60年以上連続増配しているプロクター・アンド・ギャンブルの年間配当は一株当たり4.03ドルで、税引き前の配当利回りは2.38%を超えています。
株価は、2022年10月安値122.18ドル以降は上下しつつも上昇傾向が続いています。今年7月30日には、第4四半期決算を受けて一時158.04ドルまで下落しましたが、その後は切り返し、9月10日上場来高値177.94ドルまで上昇。直近は170ドル前後まで弱含みとなっています。
アボット・ラボラトリーズ<ABT>
ジェネリック医薬品、診断薬・診断機器などの開発、製造、販売を手がけています。2024年第2四半期(4-6月期)決算は、売上高が前年同期比4.0%増の103.7億ドル、営業利益が同8.2%増の16.7億ドル、一株当たり利益は0.74ドル(前年同期は0.78ドル)となりました。
新型コロナ検査を除いた既存薬売上高が好調に推移しており、既存事業売上高の通期見通しを9.5%増から10%増に、一株当たり利益の見通しを4.61ドルから4.71ドルに引き上げました。
50年以上連続増配しているアボット・ラボラトリーズの年間配当は一株当たり2.20ドルで、税引き前の配当利回りは1.97%を超えています。
株価は、今年3月年初来高値121.64ドルから7月18日安値99.71ドルまで下落。その後は9月17日高値118.54ドルまで戻したものの、弱含みとなり直近はおおよそ111~114ドル程度で推移しています。
アッヴィ<ABBV>
免疫疾患、がん、美容医療、神経疾患などの分野に関する医薬品の開発を手がけています。2024年第2四半期(4-6月期)決算は、売上高が前年同期比4.3%増の144.6億ドル、営業利益が11.4%減の39.9億ドル、一株当たり利益は0.77ドル(前年同期は1.14ドル)となりました。免疫学、オンコロジー、ニューロサイエンス分野が増加しています。
50年以上連続増配しているアッヴィの年間配当は一株当たり6.20ドルで、税引き前の配当利回りは3.18%を超えています。
株価は2023年11月安値135.85ドルから今年3月高値182.89ドルまで上昇、その後5月30日安値153.58ドルまで下落しましたがその後は上昇に転じ、9月3日上場来高値199.95ドル以降は190ドル台での高値もみ合いが続いています。
アルトリア・グループ<MO>
たばこや関連商品の製造、販売に従事。傘下にフィリップモリスUSAなどがあります。2024年第2四半期(4-6月期)決算は、売上高が前年同期比4.6%減の62億ドル、営業利益が同12.8%減の25.3億ドル、一株当たり利益は1.31ドル(前年同期も1.31ドル)となりました。なお、四半期配当を増配し、1.02ドルとしています。
紙巻きたばこが出荷量で前年同期比12.7%減少、値上げでもカバーできず、金額ベースでも同5.6%の減収となりました。無煙たばこも出荷量は同1.8%減少しましたが、値上げにより金額ベースでは同4.6%の増収となっています。
50年以上連続増配しているアルトリア・グループの年間配当は一株当たり4.08ドルで、税引き前の配当利回りは8.07%を超えています。
株価は今年3月4日安値39.25ドルから9月5日高値54.95ドルへ上昇。その後は下落傾向で、直近では50ドル割れまで売られています。
記事作成日:2024年10月7日