大統領選で注目のトランプ/ハリス関連6銘柄

大統領選で注目のトランプ/ハリス関連6銘柄

目次

米大統領選はトランプVSハリスの構図に

株式市場は、トランプ関連銘柄に注目

トランプ関連3銘柄

ハリス関連3銘柄

米大統領選はトランプVSハリスの構図に

7月21日、米民主党のバイデン大統領は大統領選からの撤退を表明し、後継候補にハリス副大統領を支持することを明らかにしました。第1回テレビ討論会以降、対トランプでバイデン氏は明らかに劣勢となっており、金融市場でも早々にトランプ大統領の復権を織り込んだ「トランプ・ラリー」という現象が起こっていました。ただ、撤退表明以降はトランプ氏圧勝の見方が後退し、「トランプ・ラリー」の巻き戻しの動きが強まる状況にもなっています。

 

当初、人気が低かったハリス氏ですが、足元では民主党の支持が「一枚岩」的な状況となってきています。8月19~22日の民主党全国大会で、大統領候補と正式承認される可能性が高いとみられます。

 

また、米国の政治情報サイトRCP(リアル・クリア・ポリティクス)においても、大統領選挙のベッティング・オッズ(賭け率)が公表されていますが、8月7日時点で、トランプ氏が49.6%、ハリス氏が49.3%と、ハリス氏が猛追する接戦になってきています。ちなみに、撤退直前のバイデン氏は10%を割り込んでいましたが、米大統領選の行方は予断を許さない状況となりました。

 

株式市場は、トランプ関連銘柄に注目

今のところ、ハリス氏独自の政策というものは不透明ですが、基本的にはバイデン政権の政策を引き継ぐものとなるでしょう。そのため、大統領選挙における、株式市場での個別物色を含めた金融市場の焦点は、結局はトランプ氏の打ち出す政策であると言えるでしょう。代表的なものとしては、米国第一主義減税と規制緩和の推進、対中国を中心とした関税政策クリーンエネルギー政策の撤廃移民制限の強化、暗号資産の支持などが挙げられます。

 

とりわけ、減税や財政拡大、関税政策による長期金利の上昇、対中貿易政策強化による中国景気の失速懸念、世界的な環境意識の低下などが注目されるものとなりそうです。日本株で言えば、金融関連株中国依存度の低い銘柄米インフラ整備推進でメリットを受ける銘柄、米国での現地生産が進んでいる銘柄、エンジン部品などのウェイトが高い銘柄、暗号資産関連銘柄などがトランプ氏勝利でメリット受ける銘柄となります。また、防衛関連は、中東など地政学リスクの高まりからどちらの候補が優勢でも関心が高まりそうです。

 

トランプ関連3銘柄

エクソンモービル<XOM>

世界最大規模の石油会社で、探査・開発などの川上から精製・販売などの川下まで手がける垂直統合型企業です。トランプ氏は石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しており、同社などの石油開発会社には恩恵が大きくなるとみられます。また、トランプ氏ではEV(電気自動車)の普及を目指した排ガス規制の廃止EV補助金の廃止なども示唆していることで、ガソリン販売の急速な減少リスクなども低下することになります。

 

昨年9月に120ドルを超えていた株価は、2024年1月の95ドル台まで調整し、そこからリバウンドに転じました。2024年4月には123ドル台まで上昇、その後、8月上旬までは値動きの激しい展開となっていますが、比較的、底堅い動きが続いています。

 

 

JPモルガン・チェース<JPM>

総資産、収益力、時価総額で世界屈指の規模を誇る総合金融グループです。トランプ氏はかつて、CEO(最高経営責任者)のダイモン氏が財務長官になる可能性について、「彼は私が検討すべき人物であるのは確かだ」と答えた経緯もあります(直近で否定コメント)。トランプ氏の財政政策や関税政策は長期金利の上昇を促す可能性が高く、金利上昇メリットの銀行株にはプラスとなります。また、金融規制の緩和政策などもプラス材料となるでしょう。

 

株価は2023年10月安値約135ドル以降右肩上がりの上昇を続けています。2024年4月から6月までは横ばいの動きが続いていましたが、7月以降は再び上昇を続け、一時217ドル台をつけました。足もとは全体相場の大幅安で約190ドルまで下落し、8月7日時点では200ドル台を回復しています。

 

 

信越化学工業<4063>

塩ビ樹脂、並びに半導体シリコンウエハで世界トップの企業です。世界最大の塩ビ樹脂製造会社である米シンテックを子会社に保有しており、塩ビ樹脂事業の中核となっています。米国のインフラ投資拡大や住宅建設の活発化はシンテック社の業績拡大に直結するため、米国インフラ投資関連の中核銘柄といえます。また、トランプ氏は法人税率を現行の21%から15%に引き下げる考えで、シンテックの利益水準が引き上がることにもつながります。

 

株価は、2024年3月に6,926円の年初来高値をつけた後、5月には5,733円まで緩やかな調整を経て、7月後半には一時6,800円台まで回復しています。7月後半以降は全体相場につられて激しい値動きとなっており、8月5日には一時5,013円まで値下がりし、8月7日時点では6,000円台を回復しています。

 

 

ハリス関連3銘柄

テスラ<TSLA>

EV(電気自動車)の世界最大手企業です。2023年の世界シェアは19.3%と推定されています。「モデルY」と「モデル3」の2車種で大半を占めます。米国での販売シェアは約5割のようです。バイデン政権ではEV普及に向けた幅広い政策を推し進めてきましたが、トランプ氏ではEV普及策を批判し、義務化を撤廃するとも述べています。ハリス氏が大統領選で勝利すれば、世界的なEV普及の停滞リスクが大きく低下することにつながるでしょう。

 

今年1月には250ドル台だった株価は、4月に140ドル台割れまでたたき売られました。その後、約2カ月間に渡って横ばいを続け、6月後半から再び上昇し、7月には270ドル台をつけました。その後8月5日には、198ドル台まで値下がりしました。

  

三菱重工業<7011>

防衛省庁による2023年の防衛装備品契約金額は約1兆6,800億円で、他の追随を許さない水準となっています。国内企業の中では防衛関連銘柄として圧倒的な存在といえます。トランプ氏は以前から他国の防衛費に対して不満を表明しており、日本でも一段の防衛費増額が迫られる可能性もあるでしょう。また、対中政策強化に伴って台湾有事の表面化リスクも高まるとみられ、国内で防衛意識が高まりそうなことも思惑視されそうです。また、中東情勢不安などからハリス氏においても防衛関連は注目度の高いテーマになりそうです。

 

2024年7月上旬は、トランプ関連銘柄として注目を集め、株価は2,000円台を突破しました。その後は防衛省の不祥事や全体相場の下落などで下落が続き、8月5日は1,300円割れまで値下がりしました。その後は8月7日に1,700円台まで反発し、多くの銘柄が下落する中で、比較的底堅く推移していると言えそうです。

 

 

レノバ<9519>

大規模太陽光発電、バイオマス発電などをはじめとした再生可能エネルギー発電所の開発、運営企業です。国内再生エネルギー関連の中核銘柄と位置付けられます。現在のバイデン政権からトランプ政権に代わった場合、最も事業環境が変化するのが再生エネルギー市場と言えそうです。世界的な市場の停滞が予想されることになるとみられ、逆に、バイデン政権の政策が踏襲されるハリス氏がトップとなった場合、先行き懸念が大きく低下します。

 

株価は、2024年4月に1,580円をつけた後、底値模索の状態が続いています。全体相場の悪化もあり、8月5日には年初来安値642円まで売られ、8月7日には800円台まで反発しました。約3カ月間で半値程度まで下落したこともあり、そろそろリバウンドに期待したい水準です。

 

 

記事作成日:2024年8月8日

公開日:2024.8.13

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