米国株は高値圏?ETFでリスク分散も
アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなど世界を代表する企業が数多く上場していることもあって、米国株への投資を検討している人も多くいるでしょう。
しかし、米国の株式市場は長期間上昇を続けているため高値圏にあり、多くの個別銘柄の株価も高値圏にあると言えます。株式は上がることもあれば下がることもあり、株価が今後下落する可能性も考えられます。
そこで今回は、複数銘柄へ分散投資できたり、株式とは違った動きをする資産に投資できるETF(上場投資信託)を見ていきましょう。ETFは個別株投資と組み合わせることでリスク分散にも活用できます。
バンガード・米国高配当株式ETF<VYM>
企業紹介
米国の株式市場における高配当利回りの銘柄で構成される、FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動する投資成果を目指すETF。組入銘柄は時価総額加重平均で構成されます。
注目ポイント
米国では株主還元を重視した企業が数多くあります。還元策の一つが配当金で、配当利回りは高い傾向にある他、なかには何年にもわたって配当金を増やしている、連続増配企業もあります。日本では配当金の支払い回数は1、2回の企業が多いですが、米国では年4回の企業が多いのが特徴です。配当を行う企業は投資先として人気がありますから、注目してみるとよいでしょう。
株価動向
米国の株式市場の上昇とともに、株価は2024年に入ってからは調整を挟みながら値上がりが続いています。3月には121.29ドルまで上昇して上場来高値を更新しました。株式市場の地合いが悪化すれば個別銘柄も値下がりしやすいため、VYMも下落する可能性はあります。しかし株価が下落すれば配当利回りは高くなりますので、下値抵抗力が期待できる側面もあります。
SPDRゴールド・シェア<GLD>
企業紹介
金現物の値動きに連動する投資成果を目指した米国のゴールドETF。
注目ポイント
ロシアとウクライナに加えて、イランとイスラエルの戦闘が拡大していることもあって、安定性のある投資先を好む投資家が増えています。そうした背景もあって現物資産として人気の高い金に注目が集まり、金価格は高値を更新する強い上昇が続いています。
金現物に投資する場合にはまとまったお金が必要だったり、現物の保有コストがかかったりしますが、ETFを活用すれば少額から手軽に投資できます。また、金価格のさらなる上昇を期待したり、株式とは別資産への分散投資を行ったりしたい場合などに、ゴールドのETFは適しています。
金価格はドル建てのため、円安が進行している間は為替差益の恩恵も受けやすいという特徴があります。
株価動向
株価は昨年秋以降堅調に上昇が続いています。特に今年2月の安値約183ドル以降は上昇ピッチを強め、4月には約225ドルまで上昇しました。短期的には高値警戒感があるものの、現在は落ち着いている米国のインフレ再燃など今後の展開によっては、さらに高値を更新する展開も考えられそうです。
ヴァンエック 石油サービスETF<OIH>
企業紹介
石油機器・石油サービス・石油掘削等の石油上流セクターへの石油サービスに携わる米国上場企業で構成された、MVIS米国上場石油サービス25インデックスと同等の投資成果を目指すETF。
注目ポイント
ロシアとウクライナに加え、イランとイスラエルの戦闘拡大等の背景もあって、原油は減産傾向が続いています。そうした状況もあり、原油価格は2024年に入ってから上昇が継続しているため、原油価格に連動しやすいETFは上昇する動きが継続しています。
引き続き原油価格は上昇すると考える場合はもちろん、例えば原油価格の上昇がデメリットとなる企業の株を持っている場合などに、このETFを保有すればリスクヘッジとしても活用できます。
ドル建てのため、円安が進行している間は為替差益の恩恵も受けやすいという特徴があります。
株価動向
このETFは原油価格の上昇に伴って、今年2月の安値約279ドル以降は反転上昇し、4月には約353ドルまで上昇しました。その後は約316ドルまで下落し直近はもみ合いとなっています。今後の世界情勢や原油価格の行方が注目されます。
記事作成日:2024年4月24日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。