この記事でわかること
・今注目のChatGPTは、対話型の人工知能(AI)
・マイクロソフトが今後数年数十億ドルの投資を発表
驚異のスピードで普及する「ChatGPT」
2023年に入って、株式市場では「Chat(チャット)GPT」に対する関心が高まっています。
「ChatGPT」は、米国のオープンAI社が開発した対話型の人工知能(AI)であり、私たちが何か質問を投げかけると、即座に欲しい情報が自然な文章で回答されてくるものです。
従来の検索エンジンではキーワードを入力し、検索されたサイトを取捨選択して読み込むことで欲しい情報が得られるわけですが、「ChatGPT」を使用することにより、情報検索において格段に「早さ、手軽さ」が向上することになります。返答内容に関しては、経営学修士号(MBA)の試験科目で合格するレベルといった評価もあるようです。
「ChatGPT」が一般公開されたのは2022年の11月ですが、公開から6日目にはユーザー数が100万人を突破したとされ、さらに1月には平均利用者数が12月の2倍以上に膨れ上がっているようです。
今後、検索エンジンの世界が一変する可能性を秘めており、さらにはAIの劇的な進化へとつながっていくことになりそうです。
競合企業交えた開発投資が「ChatGPT」活発化へ
急速に普及スピードを上げている「ChatGPT」ですが、正確性などには改善の余地が残されているとされているほか、最新情報をカバーし切れていないとの指摘もあります。特に正確性に関しては、確認作業が困難な場合も多くなるでしょう。1月には、米マイクロソフトがオープンAIに今後数年で数十億ドルを追加投資すると発表しており、一段の性能向上が待たれるところです。
現在、グーグルが検索エンジンで約9割のシェアを占めていると見られ、これによる広告収入が大きな収益源となっています。このため、「ChatGPT」の出現は大きな脅威と考えられ、こうした対話型AIの開発を活発化させる必要があります。同分野への集中投資に伴って、対話型AIそのものの市場も活性化されていくことになりそうです。
「ChatGPT」をはじめとした対話型AIがビジネスで本格的に利用されるには、使用される言葉や慣習などに大きな違いがない(AIによる誤った判断が起こりにくい)、業界ごとの固有のシステムがまずは普及していく可能性もあるでしょう。たとえば新薬開発、商品開発のための普及予測、生産工程の効率化の探求などが考えられます。
AIでは後れを取っている日本企業ですが、AIにはデータのインプット、つまりビックデータも大きな構成要素となります。日本が強みを持っている産業も多く散見されることで、その業界内で多くのノウハウや経験を蓄積している企業には、この面で活躍余地が生じる公算もあるでしょう。
弁護士ドットコム | 6027
日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営。電子契約サービス市場で売上シェアトップのクラウドサインも手掛ける。100万件以上の法律相談の蓄積を強みに、「ChatGPT」を使った新たな無料法律相談サービスを今春開始の計画。
Appier Group | 4180
マーケティング分野において、AIを活用したサービスを提供。2021年5月には、アジアのBotBonnie社を買収し、会話型マーケティングの分野に参入。国内企業の中においては、「ChatGPT」関連としての連想感が最もイメージされやすい銘柄の一つ。
マイクロソフト | MSFT
2019年7月にオープンAIへ10億ドルを投資し、提携することを発表しているが、2023年1月23日には、今後数年間にわたりオープンAIに数十億ドルを追加投資する計画を表明。それに続き2月7日には、「ChatGPT」の基盤技術を組み込んだ検索エンジン「Bing」の新バージョンを発表。
エヌビディア | NVDA
米半導体メーカー。AIアプリケーションが必要とするグラフィック半導体市場では圧倒的な存在。「ChatGPT」の市場成長に伴い演算能力拡大の必要性も高まり、一部では、向こう1年で30億~110億ドルの売上高をもたらす可能性があるとも指摘される。
アマゾン・ドットコム | AMZN
インターネット通販の最大手、クラウドコンピューティングでも有力。人工知能スピーカーやAI音声アシスタントを提供するなど、会話型AI搭載のスマートスピーカー市場ではトップの位置づけ。対話型AIの普及は消費者の需要喚起につながる余地が大きいと見られる。
記事作成日:2023年2月23日