会員数2億人超の動画配信サービスに成長
オリジナル番組を含むテレビ番組や映画を世界190カ国に、21の言語でネット配信しているのがネットフリックスです。
1997年に郵送でのDVDレンタルを開始したことが事業の始まりでした。翌1998年にネット事業に進出し、DVDレンタル販売サイトを開始、2002年にナスダック市場に上場しました。2007年にストリーミングが導入され、ネットでテレビ番組や映画が鑑賞できるようになり、サービスの提供地域を米国から拡大していった結果、2014年には会員数が5,000万人を突破しました。
オリジナルの番組や映画制作にも力を入れ、2017年には「ホワイト・ヘルメット ーシリアの民間防衛隊ー」でアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、作品はさまざまな賞を受賞しています。2020年末には全世界での会員数が2億人を突破、2024年3月末の会員数は2億6,960万人にも達しています。
差別化で倍近い会員数獲得も目先は失望感
順調に事業を拡大してきたネットフリックスですが、2021年からは売上高と会員数が伸び悩む低迷期を迎えます。同社ではこの要因として、パスワードを共有してアカウントを使いまわし、料金を支払わずに番組を視聴する行為が増加している点などを挙げていました。
そこで、2022年11月からは視聴中の番組に広告が入る低価格プランを導入し、サービスと料金の差別化を図りました。さらに、2023年5月からはアカウント共有の取り締まりを開始し、有料でのアカウント共有サービスの導入を開始しました。
この結果、4月18日に発表された2024年の第1四半期決算(1~3月)では、新規会員数の増加は933万人と、市場予想の倍近い会員数を獲得しました。会員数の増加を追い風に、売上高は前年同期比14.8%増の約93億7,000万ドルに、営業利益は同53.6%増の約26億3,200万ドル、純利益は同78.7%増の約23億3,200万ドルと大幅に増加しています。1株当たり利益も前年同期の2.88ドルから5.28ドルと倍近くに増加しています。
ただ、同時に発表された第2四半期の売上高予想が94億9,000万ドルと市場予想を下回ったことや、2025年1~3月期から四半期ごとの新規会員数と1会員当たりの売上高の発表をやめ 、節目に達した場合のみ発表する方針を打ち出したことで、投資家の失望感を誘いました。
ゲーム配信や人気番組の独占契約など今後のサービス拡大に期待
同社はネットでテレビ番組や映画のほかにも、パソコンやモバイルでゲーム配信を行うなど事業を拡大しています。2024年にはコンテンツ制作で最大170億ドルを投資することも表明しました。1月23日には、ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の生中継の週間番組「RAW」を2025年1月から全世界で独占配信する10年契約を50億ドル超で結んだことを発表しています。この番組は現在、USAネットワークでナンバー1の人気番組で、年間1,750万人のユニーク視聴者を獲得しています。
ネットフリックスは、今後もさまざまなエンターテインメントへと配信分野を拡大し、新たなサービスを展開していくことが予想される注目企業です。
記事作成日:2024年4月25日