「月次レポート」でわかる投資信託の運用状況
投資信託の購入の際には、運用方針やリスク、手数料といった重要事項が記載されている「(交付)目論見書」を確認することが重要です。目論見書に関しては、以前にもご紹介しましたが、実際に購入したあとも定期的にチェックしたいものがあります。それが「月次レポート」です。月次レポートは、投資信託を運用する運用会社(委託会社)が毎月の運用状況を報告するもので、「月報」や「マンスリーレポート」と呼ばれることもあります。
株式市場をはじめとする金融マーケットは「生き物」のようなもので、経済状況や各国の政局などによって刻一刻とその姿を変えていきます。それにより、投資信託の基準価額も上がったり下がったりしますし、ファンドの中身を入れ替えるなど運用を見直す場合もあります。
特にアクティブファンドは、株価指数などに連動するインデックスファンドとは異なり、運用者であるファンドマネージャーの手腕に左右されやすい投資信託です。ですので、インデックスファンド以上に最新の月次レポートをチェックし、運用状況やファンドの中身などを把握しておく必要があります。
ファンドマネージャーの考え方に共感できるか?
今回は、PayPay証券で取り扱っているアクティブファンドの中から、2024年2月時点において人気ナンバーワンの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) 愛称:未来の世界(ESG)」を参考に月次レポート(マンスリーレポート)を解説していきましょう。
この投資信託は、ESG(環境・社会・企業統治)を投資対象選定の主な要素としており、それに準じた世界の各国の株式などに投資し、リターンを目指しています。
運用実績の推移、騰落率
月次レポートは、運用会社のホームページで誰でも手軽に閲覧することができます。2024年2月29日の月次レポートを開くと、最初に出てくるのが「運用実績の推移」「基準価額・純資産総額」「騰落率(税引前分配金再投資)」などの項目です。
運用実績の推移はグラフで示されており、騰落率の項目では、過去からの実績が数値で記載されています。昨今の金融マーケットの上昇もあり、同ファンドの実績が右肩上がりで推移していることがわかります。
組入比率
次のページでは、「業種別組入比率」「国・地域別組入比率」「通貨別組入比率」が記載されています。この投資信託では、米国内への投資が73.4%(米ドル建ての資産は88.1%)で、情報技術と一般消費財・サービスの分野に48.9%の資産を投じていることがわかります。
組入上位銘柄
さらにページをスクロールすると、「組入上位10銘柄」がランキングされ、それぞれの「ESGへの取組み/企業価値との結びつき」などが紹介されています。このレポート作成時点での組入トップは、米国のウーバー・テクノロジーズ<UBER>(9.8%)でした。
マーケット等のコメント
注目したいのが、「マーケット動向とファンドの動き」「今後のマーケットの見通しと運用方針」の項目です。ここには、直近の金融マーケットの動向がファンドマネージャー目線で紹介されており、投資信託以外の金融商品を選別する際の参考にもなりそうです。
なお、投資信託の運用が芳しくなかった場合には、その理由などが説明されることになりますので、それらをきちんとチェックし、将来的に保有するべきなのかを検討してください。月次レポートは、投資信託の毎月の通信簿のようなものです。せっかく、大切なお金を運用するのですから、できるだけ将来有望な投資信託を選びたいものです。
※画像はアセットマネジメントOneより引用しています
記事作成日:2023年3月13日