はじめて株式を買う前の10のチェックポイント

💡この記事のポイント

✅ 株式を買う前のチェックポイントを解説

✅ 決算説明資料等、チャートや株価指標、投資方針

✅ 銘柄別チェックポイント例もご紹介

🔎登場する主な銘柄

✅ 日本株:トヨタ自動車NTTソフトバンクグループ

✅ 米国株:アップルウォルマートコカ・コーラ

 

目次

株式を買う前の10のチェックポイント

まずは決算説明資料等。会社の“中身”を見る

次にチャートや株価指標。今の株価水準を見る

最後に、自分の投資方針の確認

10銘柄で見る、キーとなるポイント

はじめて株式を買う前の10のチェックポイント

証券口座を開いたものの、まだ最初の取引に進めていない。

そのような方もいらっしゃるかと思います。そんな方にとって、株式投資は「知っている会社」からはじめやすい金融商品のひとつです。日々の生活やニュースで見かける会社に投資し株主になれるのは、株式投資の分かりやすい魅力です。

 

一方で、株式は基本的に「1つの会社」に投資する商品です。投資信託のように1本で多くの銘柄や資産に分散されている商品とは異なり、その会社の業績やニュース、業界環境によって株価が大きく動くこともあります。

 

そこで大切になるのが、買う前のチェックです。株式の場合、確認するものは主に3つあります。決算説明資料等チャートや株価指標ご自身の投資方針です。

難しく感じるかもしれませんが、最初から決算資料等をすべて読み込む必要はありません。見る場所を決めておけば、はじめてでも銘柄を比べやすくなります。

 

もちろん「チェックしなくてはいけない」というわけではありませんが、「何を見て、何に注意して買えばいいか分からないと不安」という方はぜひ参考にしてください。そのためのチェックポイントを今回はご紹介します。

 

 

株式を買う前の10のチェックポイント

・決算説明資料等を確認

└業績:売上や利益は伸びているか

└見通し:会社は今後をどう見ているか

└方針:重視する事業や中期経営計画はどうか

└株主還元:配当金や株主優待はどうか

└リスク:どんなときに業績や株価が悪くなりやすいか

・チャートや株価指標を確認

└株価水準:過去から現在までの株価推移はどうか

└株価指標:PER、PBRなど株価の割安・割高の度合いはどうか

・投資方針の確認

└買う狙い:なぜその株を買うのか

└投資期間:どのくらい持つつもりか

└売る方針:利食い・損切りをどうするか

 

以下、それぞれについてカンタンに解説します。

 

 

まずは決算説明資料等。会社の“中身”を見る

株式を買う前にまず確認したいのが、会社の事業内容や、足元の状況です。企業のウェブサイトには会社の概要や「IR情報(投資家向け情報)」などの案内があります。まずはそれらで業務内容等をチェックしましょう。

 

中には「決算説明資料」というスライド形式の分かりやすい資料を公開している企業もあります。投資家向けに業績や今後の方針を説明する資料で、グラフや表が多く、初心者でも要点を掴みやすい内容になっています。まずはこれらから、企業の「今」と「これから」をチェックしてみましょう。

 

業績:売上や利益は伸びているか

最初に見るのは、売上と利益です。

売上は、会社の商品やサービスがどれくらい売れたかを示す数字です。

利益は、売上から費用を差し引いて、会社にどれくらいお金が残ったかを示す数字です。

売上も利益も伸びていれば、その会社の事業が順調に広がっている可能性があります。一方で、売上は伸びているのに利益が減っている場合は、原材料費や人件費、広告宣伝費、研究開発費などのコストが増えているかもしれません。見るときは、前年同期比を確認すると分かりやすいです。前年同期比とは、前年の同じ時期と比べてどれくらい増えたか、減ったかを見る数字です。

 

見通し:会社は今後をどう見ているか

次に見るのは、会社の今後の見通しです。

株価は、過去の実績だけでなく、これからの期待でも動きます。そのため、直近の決算が良くても、会社が今後に慎重な見通しを出すと株価が下がることがあります。反対に、足元の数字がそこまで強くなくても、今後の回復期待で株価が上がることもあります。

確認したいのは、次のような点です。

 

・通期の売上や利益の予想は伸びているか

・会社予想は上方修正されたか、下方修正されたか

・会社は何を成長要因として見ているか

・会社は何を不安材料として見ているか

 

方針:重視する事業や中期経営計画はどうか

株を買う前には、会社の方針も見ておきたいところです。

会社は決算説明資料や中期経営計画で、今後どの事業に力を入れるのかを説明していることがあります。中期経営計画とは、会社が数年先を見据えて、売上や利益、投資、株主還元などの目標を示す計画です。「経営者はこの会社をどうしたいのか?」はもっともチェックしておきたいポイントです。

たとえば、会社によって重視するポイントは異なります。この会社はこれから何を目指すのか、その方針や施策に自分は納得できるのかを確認しましょう。

 

・海外売上を伸ばす

・AIやクラウドなどの成長分野に投資する

・不採算事業を整理し構造改革をする

・資産を有効活用し効率的な経営を目指す

・コスト削減で利益率を高める

・株主還元を強化する

 

株主還元:配当金や株主優待はどうか

株式投資では、値上がり益だけでなく、株主還元も大切なポイントです。

株主還元とは、会社が利益の一部を株主に返すことです。代表的なものに、配当金や自社株買いがあります。日本株では、会社によって株主優待を実施している場合もあります。

確認したいのは、次のような点です。配当性向とは、利益のうちどれくらいを配当金に回しているかを示す割合です。高ければよいというものではなく、利益以上に無理をして配当金を出していないかを見ることも大切です。

 

・配当金は安定しているか

・配当金を増やす方針があるか

・配当性向は適切か

・自社株買いは行うか

・株主優待は継続されそうか

・会社は株主還元をどれくらい重視しているか

 

リスク:どんなときに業績や株価が悪くなりやすいか

株を買う前には、良い面だけでなく、悪い方向に動く理由も確認しておきたいところです。

株価は、会社の業績や市場の期待などで動きます。そのため、買う前に「この会社にとって逆風になることは何か」を考えておくと、買ったあとに慌てにくくなります。

たとえば、海外売上が大きい会社や海外から資源や商品を輸入する会社は為替の影響を受けます。景気に左右されやすい会社は、景気が悪くなると売上や利益が落ちることがあります。銀行株は、金利や景気、貸出先の状況が業績に影響します。ハイテク企業は、成長期待が高い分、期待を下回る決算が出ると株価が大きく下がることがあります。

まずは、「この株が下がるとしたら、どんな理由がありそうか」を確認しておきましょう。

 

 

次にチャートや株価指標。今の株価水準を見る

会社の中身を確認したら、次はチャートや株価指標を見ます。

ここで大切なのは、「安い株を見つける」ことや「これから上がりそうな株を探す」だけではありません。株価は、会社の実力だけでなく、市場の期待も反映します。その期待がどれくらい入っているかを見るためにも、チャートや株価指標を確認して「その株の現状」を知りましょう。

 

株式投資は未来にどうなるかで成果が決まりますが、チャートや株価指標を見ることで過去や今の状況を把握しやすくなります。これまでの推移と今の位置が分かってこそ、この先が考えやすくなるはずです。

 

株価の位置:過去から現在までの株価推移はどうか

まずは、株価チャートを見てみましょう。

チャートとは、株価の動きを線やローソク足などで表した図で、値動きを分析するテクニカル分析などで使われます。難しく考えたり毛嫌いする必要はありません。過去から現在までの株価推移を見て、いまの水準が高いのか低いのか、どの程度なのかを把握しましょう。

 

数年以上の長期的な傾向はどうか、ここ1~2年の動きはどうなってるか、直近3~6ヵ月程度で見て高いのかやすいのか、これくらいを見るだけでも十分です。チャートだけで買う、買わないを決める必要はありません。チャートはあくまで、今の株価の位置を知るためのツールです。しかし、これほど客観的に分かりやすく株価動向を把握できるものは他にはないでしょう。それを確認せずに売買するのは、あまりおすすめできません。

 

株価指標:PER、PBRなど株価の割安・割高の度合いはどうか

株価の水準を見たら、株価指標も確認してみましょう。

初心者の方は、まずPER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)を見てみましょう。PERとは、株価が一株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。一般的には、PERが高いほど成長期待が大きいと見られ、低いほど株価は割安と見られます。成長企業はPERが高くなりやすく、成熟企業はPERが低くなりやすいなど、業種によって水準は異なります。

 

PBRとは、株価が一株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す指標です。純資産とは、会社の資産から負債を差し引いた、会社の資産価値のようなものです。PBR=1倍は、会社の資産価値と株価が等しい状態で、PBRが高いほど割高、低いほど割安とされています。

 

PERやPBRを見るときは、数字の高い低いだけで判断しないことが大切です。「今の株価には、どれくらい期待が入っていそうか」を考えるための材料として活用しましょう。

 

・同じ業種の他社と比べてどうか

・その会社の過去の水準と比べてどうか

・利益が一時的に大きく増減していないか

・市場が将来の成長をどれくらい期待しているか

 

 

最後に、自分の投資方針の確認

決算説明資料、チャートや株価指標を確認したら、最後に自分の投資方針を考えます。ここで見るのは、買う狙い、投資期間、売る方針です。「なんとなく上がりそうだから買う」ではなく、なるべく具体的に投資方針を明確にしておきましょう。そうすれば、買った後に次々と変化する状況において「どうすべきか?」が考えやすくなります。

 

最初に考えた方針を変えていけないわけじゃありません。状況の変化に応じて見直してOKです。ただ、その場合も見直した理由や新たに見直した方針を明確にしておきましょう。その投資が終了した後に振り返れば、何が良かったか、何が悪かったか、どこを改善すればいいか、が分かりやすくなるはずです。

 

買う狙い:なぜその株を買うのか

株を買う前に、一番明確にしておきたいのが「なぜこの株を買うのか」です。

たとえば、次のような形です。

 

・時流に乗っていて短期的に上がりそうだから

・次の決算発表で好決算が期待できそうだから

・長期保有して成長の果実を得たいから

・高配当が魅力だから

・株主優待が欲しいから

・AI関連の将来性に期待しているから

・安定的な業績と株価推移を期待しているから

・猛暑で売上が伸びると思うから

 

このくらい短くても大丈夫ですし、いくつも買いのポイントを羅列しておいても良いですし、もっと詳細にメモしておいても良いでしょう。買う理由を明確にしておくと、その理由がなくなったり変化したときは売却を検討するタイミングにもなります。その株を保有し続けるべきかを考える際も、買う理由が維持されているかどうかは判断基準の一つになるはずです。

 

投資期間:どのくらい持つつもりか

次にイメージしておきたいのが、投資期間です。

 

・短期間で売るつもりなのか

・数カ月や数年なのか

・決算発表などイベントが目安なのか

・できるだけ長く持ち続けるつもりなのか

 

株式は日々値動きします。短期で見るほど、ニュースや市場全体の動きに左右されやすくなります。中長期で見る場合は、毎日の株価よりも、会社の事業や業績が買った理由に沿っているかを確認することが大切です。成長株と高配当株では、見る期間や期待することも変わります。

 

また、短期で売るつもりだったのに下落したために売れず「塩漬け株」にしてしまう失敗もありがちです。イメージしていた投資期間と実際のズレも、売却などを考える際の重要なポイントになります。

 

売る方針:利食い・損切りをどうするか

株を買う前に、売る方針も考えておきたいところです。

利食いとは、株価が上がったときに利益を確定することです。損切りとは、株価が下がったときに損失を確定して売ることです。はじめて株を買うときは、買うことに意識が向きやすいですが、実際には「いつ売るか」も大切です。

たとえば、次のように考えておくと整理しやすくなります。

 

・買った理由が崩れたら売る

・決算で業績悪化が続いたら見直す

・目標としていた株価まで上がったら一部売る

・想定以上に下がったら損切りを検討する

・長期保有予定なので、短期の値動きだけでは売らない

 

売る方針にどれが正しいという正解はありません。ただ、何も決めずに買うと、上がったときは「もっと上がるかも」と迷い、下がったときは「いつか戻るかも」と思考停止になりやすくなります。買う前に、売るときの方針もある程度は決めておくと、売却の判断もしやすくなるはずです。

 

 

10銘柄で見る、キーとなるポイント

ここからは、具体的な銘柄を例に、買う前にどんな点を意識するかの参考例をご紹介します。あくまで一例ですので、銘柄ごとの特徴やご自身の投資方針・注目点に応じてチェックするようにしてください。

 

トヨタ自動車<7203>

自動車メーカーは、車がたくさん売れているかだけでなく、原材料費、人件費、研究開発費、為替などによって利益が大きく変わります。

また、世界中で事業を展開しているため、日本だけでなく北米、欧州、アジアなど地域ごとの販売状況もポイントになります。中長期では電動化やソフトウェア、自動運転などへの投資や、競合との競争も重要なポイントです。

 

NTT<9432>

通信インフラを支える企業として、事業の安定感に注目されやすい銘柄です。ただし、通信事業は設備投資が大きく、料金競争や規制の影響も受けます。

見るときは、売上や利益だけでなく、法人向け事業、データセンター、グローバル事業など、通信以外の成長分野がどのくらい伸びているかも確認したいところです。配当金などの株主還元を重視する投資家も多いため、安定した還元が続きそうかも大切なポイントになります。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

銀行株を見るときは、金利の動きと景気の影響を意識したいところです。金利が上がると銀行の収益にプラスとなる面がありますが、景気が悪くなると貸出先の信用リスクが高まることもあります。

決算では、利益の増減だけでなく、国内外の貸出、手数料収入、与信費用、株主還元方針なども見ておきたいところです。銀行株は配当金利回りが注目されやすい一方で、景気や金融市場の変化で株価が動きやすい点には注意が必要です。

 

任天堂<7974>

ゲーム機、ゲームソフト、キャラクターIP(知的財産権)を持つ企業です。見るときのポイントは、ハードとソフトのサイクルです。ゲーム機本体が売れる時期、人気ソフトが発売される時期、次世代機への移行期などで、売上や利益の見え方が変わります。

ゲームだけでなく、映画、グッズ、テーマパークなど、キャラクターIPを活用した展開も進めています。短期的には新作や新型機の販売動向や製造コスト、中長期ではIPをどのように広げていくかがキーになりそうです。業績予想が保守的に出やすいかどうかも、決算を見るうえで意識したいところです。

 

ソフトバンクグループ<9984>

通常の事業会社とは少し違う視点が必要な銘柄です。投資会社としての性格が強く、保有している上場株式や未上場企業の価値によって業績や株価が大きく動きやすい面があります。

そのため、売上や利益だけでなく、保有資産の価値、投資先企業の株価、純有利子負債、NAVと呼ばれる保有資産価値の考え方などもポイントになります。値動きが大きくなりがちな銘柄なので、株価の位置や売る方針を事前に考えておきたいところです。

 

エヌビディア<NVDA>

AI向け半導体で注目される企業です。見るときの中心は、データセンター向け需要と利益率です。AIブームの中心にいる企業として成長期待が大きい一方で、期待が高い分、決算や見通しに対する株価の反応も大きくなりやすい銘柄です。

注意したいのは、好業績だけでなく、その成長がどのくらい続くと市場が見ているかです。競争環境、顧客の投資計画、輸出規制、在庫調整なども株価に影響します。株価水準とともにPERなどの株価指標も見ながら、期待が先行しすぎていないかを確認したいところです。

 

アップル<AAPL>

iPhoneなどの製品で知られる企業ですが、サービス収入も重要な柱になっています。見るときは、iPhoneなどの製品販売だけでなく、アプリ、音楽、クラウド、決済などのサービス分野がどれくらい伸びているかも確認したいところです。

一方で、製品サイクルや地域別の売上、特に主要市場での需要動向によって業績が左右されがちです。ブランド力の強さは大きな魅力ですが、成長率が鈍化していないか、株価がどれくらい期待を織り込んでいるかも見ておきたい銘柄です。

 

ウォルマート<WMT>

米国を中心に世界で小売事業を展開する企業です。日用品や食品など生活に欠かせない商品を扱うため、景気が悪いときでも一定の需要が見込まれやすい一方、人件費や物流費、価格競争の影響を受けます。

見るときは、売上高だけでなく、利益率や既存店売上、ネット通販の伸びを確認したいところです。小売業は売上規模が大きくても利益率が低くなりやすいため、「どれだけ売れたか」と同時に「どれだけ利益が残ったか」を見ることが大切です。

 

ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>

医薬品や医療機器などを手がけるヘルスケア企業です。ヘルスケア分野は景気に左右されにくいディフェンシブな面がありますが、医薬品の特許切れ、研究開発の成否、訴訟リスク、規制の影響なども確認したいところです。

見るときは、売上や利益に加えて、主力医薬品や医療機器の伸び、研究開発費、今後の製品パイプラインを意識するとよさそうです。安定感だけでなく、将来の成長を支える新しい製品や治療領域があるかもキーになります。

 

コカ・コーラ<KO>

世界的な飲料ブランドを持つ企業です。生活に身近な商品を扱うため、比較的安定したイメージを持たれやすい銘柄です。

ただし、安定したブランド企業でも、原材料価格、物流費、為替、各国の消費動向の影響を受けます。見るときは、売上の伸びだけでなく、値上げによって利益を保てているか、販売数量はどう動いているか、配当金を続ける力があるかを確認したいところです。成長株というより、ブランド力や株主還元に注目したい銘柄です。

 

 

記事作成日:2026年5月27日