株の損失は購入金額まで、利益は無限大
株式投資は、大きな利益が狙える一方でリスクも存在します。8月上旬に、日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録したのは、大きなニュースとして取り上げられました。1987年の「ブラックマンデー」の翌日以来となるワースト記録の更新に、株式投資を始めたばかりの人は驚いたに違いありません。このときの日経平均の下落率は12.4%(下落幅は4,451円)で、上場している多くの銘柄が1日で10%以上の下落率に見舞われました。
では、実際に株を購入し、予想に反して株価が下落してしまった場合には、どれくらいの損失を被ることになるのでしょうか?
ここでは、投資初心者向けに、株式投資でのリスクリターンについて考えていきます。
結論から言うと、損失は投資金額、つまり株の購入金額に限られます。株を10万円しか買っていないのに100万円損する、というようなことはありません。極端な話、10万円で購入した会社(株式)が倒産してしまえば、投資金額の10万円はゼロになってしまいます。一方、この会社が大きく成長し、株価がグングンと上昇していけば、利益は無限大です。株式市場では、株価が10倍になる銘柄を「テンバガー」と呼んでいますが、このような銘柄は年間に数銘柄誕生しています。
株価は1日で最大どのくらい動く?
では、損失について、もう少し細かく見ていきましょう。東京証券取引所(東証)では、1日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限しています。この値幅を「制限値幅」と呼びます。制限値幅は下の表の通りで、前営業日の終値または最終気配値(取引が成立しなかった場合の参考価格)を基準とします。
たとえば、前日の終値が1,100円だった銘柄は、次の日の制限値幅は上下300円となり、上昇は1,400円(ストップ高)まで、下落は800円(ストップ安)までとなります。仮に800円まで下落して終わった場合には、翌日の制限値幅は150円となります。
ここで注意したいのは、売り注文が殺到し、株価が制限値幅いっぱいのストップ安まで売られた場合です。このようなケースでは、買いを入れる投資家はほとんどいません。仮に売り注文を出したとしても、これを買ってくれる投資家がいない場合には、売れないケースがあるわけです。経営危機やトラブルなど、大きな悪材料が出た銘柄などは、数日間にわたってストップ安が連続し、売りたくても売れない状態が続いてしまうこともあります。
8月の大暴落のように、全体相場が急落したようなケースでは、「パニック売り」が一巡すれば、大きく値下がりした銘柄もリバウンドする可能性があります。しかし、会社の悪材料で下げたような場合には、時として潔い撤退も必要です。まずは、なぜ下げているのかの理由を自分なりに導き出し、あらためてその会社が将来的に有望なのかを考える必要があります。
ちなみに米国株には制限値幅は無く、ストップ高/ストップ安もありません。
初心者向けの株とは
最後に、銘柄ごとの株価の変動についてご紹介します。基本的に、会社の規模、つまり時価総額が大きな企業ほど、株価の変動幅は小さいとされています。例えば、三菱重工業<7011>やトヨタ自動車<7203>、日本電信電話<9432>などの大企業です。
逆に、時価総額が小さな会社は、一定程度の売買が株価に及ぼす影響が大きいため、株価の変動は激しくなりがちです。時価総額の大きな会社が集まった東証プライム市場よりも、中小型の新興企業が多い東証グロース市場の値動きが激しくなるのはこのためです。
初心者の方は闇雲に大きな損をしてしまうのではないか?と過剰に不安がるケースもありますが、無理のない範囲で投資していれば、最悪のケースでも投資額の範囲内の損失で抑えられます。
また、大型株や安定した企業への投資であれば、倒産のリスクなどもかなり回避することができます。まずはよく知っている有名企業の株を買うことからはじめてみてはいかがでしょうか。
記事作成日:2024年8月6日