いざ投資を始めてみると、事前に考えていたのとは違った事態に遭遇して、思わぬ失敗をしてしまうことがあります。
今回は、投資初心者が陥りがちな「失敗あるある」について見ていきましょう。
一時的な株価下落に混乱して売却
まず、「これは」と見込んだ株式を購入したのに、予想に反して値下がりしてしまったとき、「これ以上下がったらどうしよう」と焦って売ってしまう、というパターンです。
株価というのは上がるときもあれば、下がるときもあります。一時的に下がることはあっても、よほど大きな問題が起こらなければ、自然に戻ることも少なくありません。
したがって、株価の変動に一喜一憂せず、長期で考えることが大切です。その意味で、投資は使い道が決まっているような資金ではなく、しばらく使う予定のない「余裕資金」で行うのが鉄則です。
たとえば、2020年のコロナショックの際も、世界的に株式市場は大きく下落しましたが、事態が落ち着くにつれて次第に回復し、下落前の水準を回復しました。下落したとき、過去にリーマンショックなどの荒波を乗り越えてきたベテラン投資家たちは、「また戻るだろう」と大きく構えて持ち続けたり、むしろチャンスとばかりに下げたところで買い増しをしたりして、利益を得ました。混乱して売ってしまった人は、株価の戻りを見て、「早まった!」と後悔したのではないでしょうか。
下手な「ナンピン買い」でかえって損失が拡大
一方、業績悪化や不祥事などを理由に株価が下がったのに、それに目をつぶり、「きっと回復するはず」とズルズル持ち続けて、損失が大きくなってしまうケースもあります。
「ナンピン買い」は、買ってから下がった場合に買い増しをすることを意味していますが、「下手なナンピン買い」をしてしまう場合があります。
人は往々にして、「自分の判断は正しいに違いない」と思い込もうとして、それを裏付ける情報ばかり集め、反する情報を排除したがる傾向があります。「きっと上がるはず」と期待して買った株の株価が下がってきた場合、「そんなはずはない」と意固地になり、逆に買い増したりします。
たとえば、株価2,000円の株を100株購入した後、株価が1,000円まで下がったときにもう100株買い増せば、3,000円で200株買ったことになり、平均購入価格が100株当たり1,500円と下がります。
これは一見すると得したように見えますが、実は株式の世界には「下手なナンピン、スカンピン」という格言があります。上記の例でもし株価が反転して1,800円になれば、200株で3,600円となり、2,000円に戻らなくても利益(600円)が出ることになります。
ただし、逆に株価が500円に下がれば200株で1,000円、損失が2,000円になり、100株のままなら1,500円ですんだ損失がむしろ膨らんでしまいます。
株価が下がる要因はさまざまで、全体の相場が下がったときにつられて下がった場合などはそう深刻ではありませんが、業績不振や不祥事など、その会社特有の原因で下がってきた場合は、そのまま下落し続ける可能性があります。目先の株価だけで安易に買い増すと、かえって損失を拡大させてしまう可能性があるので、「本当に今買う価値があるのかどうか」の冷静な見極めが必要です。
一気に資金を集中させて、全滅状態に!?
投資初心者がやりがちなのが、一つの商品に一気に資金を投じてしまうことです。
たとえば、「外貨で資産を持つべき」などと聞くと、数百万円を一度に外貨商品に投入する人がいます。でも、外貨や株式など価格が変動する金融商品は、いつ買うかによって収益に大きな差が出ます。たまたま高いときに買ってしまうと、下がったときのダメージが大きくなります。
この場合、時期をずらして少しずつ分けて買った方が「高値づかみ」のリスクを減らすことができます。特に、毎月一定額をつみたてる「つみたて投資」なら、価格が高いときには少なく、安いときには多く買い付けるという「ドルコスト平均法」の効果で購入価格が平均化され、リスクを抑えられます。
また、同じ銘柄や業種にばかり偏って投資するのも、それが値下がりしたときのダメージが大きくなります。輸出株と内需株のように、異なる値動きをする傾向のある銘柄に分散することで、損失リスクを軽減することができます。
さらに、「〇〇株は絶対上がる」といったインターネットなどの情報を鵜呑みにして売買するのも危険です。投資はあくまでも自己責任。自分で調べ、納得したうえで売買するようにしましょう。
記事作成日:2023年8月29日