この記事でわかること
・資産運用では「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類の利益が得られる
・配当の良し悪しは配当利回りによって比較できる
・高配当の銘柄は長期保有に向いている
資産運用で得られる2種類の利益
「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という言葉をご存じでしょうか?
インカムゲイン(Income Gain)とは、株式などの資産を保有していることで得られる利益で、銀行の利子や株式の配当などを指します。一方のキャピタルゲイン(Capital Gain)とは、資産を売却することで得られる利益を指し、株式や不動産などの譲渡益(売却益)が該当します。Capitalは「資本」という意味で、「資本から得られる利益」を指すことから、こう呼ばれています。
預貯金で得られるのはインカムゲインのみで、キャピタルゲインを得ることはできません。これに対して、株式や不動産などの投資商品では、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うことができます。
株式や投資信託(投信)は、安いときに買って、高くなってから売れば、その差額分がキャピタルゲインとなります。株や投信の値段が上昇すれば、たとえ短期であっても大きな利益を得られる可能性があります。
一方のインカムゲインは1年で〇円、〇%という形で決められており、受け取れる金額は保有する量や期間に比例します。原則、長く保有すればするほど、得られるインカムゲインは増えていきますので、長期で資産運用する際には、特にこのインカムゲインに注目する必要があります。
配当を株価で割って算出する「配当利回り」で比較
株式のインカムゲインである配当は、1株につき〇円という金額で表示され、銘柄によってその金額は異なります。配当は企業が利益の中から任意で分配するので、業績が良ければ増えて「増配」となり、悪ければ減って「減配」となりやすいです。さらに、業績が悪化して配当が出せなくなれば、「無配」となることもあります。
米国株では、コカ・コーラ(KO)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)など、業績が好調で毎年増配を続けている企業がたくさんあります。日本株でも花王(4452)など、いくつかあります。こうした企業の株をじっくり長期で持っていれば、持っているだけでインカムゲインが増えていくので、資産形成に有効です。
ただし、いくら配当の金額が高くても、株価も高ければインカムゲインの魅力が大きいとはいえません。そこで、株価が違っても比較できるようにしたのが、配当を株価で割って算出する「配当利回り」です。たとえば、配当が1株につき年間10円、株価が500円だとすると、10円÷500円×100で、配当利回りは年2%となります。
現在、銀行の定期預金金利はわずか0.003〜0.007%程度です。これに対し、株式の配当利回りは平均2%前後で、高いところだと8%前後。4%以上の高配当銘柄も少なくありません。配当利回りが比較的高い業種としては、銀行、商社などがあります。こうした高い利回りで長期運用できれば、資産が増えるスピードが早くなり、預貯金としておくのとは大きな差がつきます。
配当利回りの高い銘柄を選んで購入し、株価が上がってから売ればキャピタルゲインとインカムゲインの両方を得ることができます。逆に株価が下がってしまったとしても、長く持ち続けてインカムゲインを積み重ねることで、含み損を埋められる可能性があります。
なお、譲渡益と配当には約20%の税金がかかり、実際に受け取れるのはそれを差し引いた金額となります。ただし、NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、譲渡益と配当の両方に対する税金がかかりません。したがって、特に配当利回りの高い銘柄はNISA口座で保有するというのも有効な方法です。
記事作成日:2023年7月24日