「株価が安い時に購入し、高くなったら売る」ことで利益を追求する株式投資。では、株価自体は何を理由に動くのでしょうか?
今回は、株価が動く理由について考えていきましょう。
人気が上がれば上がり、人気がなくなれば下がる
大前提として、株は買いたい人(需要)と売りたい人(供給)の需給バランスによって価格が上下動します。発行している株数は決まっているので、「需要が供給を上回れば株価が上がる」し、逆に「需要が供給を下回れば下がる」のは、モノやサービスの価格と同様、経済のキホンでもあります。
ちなみに、英国の有名な経済学者であるケインズが、株を「美人投票」に例えたのは有名な話です。業績がどんなによくても、買いたいと思う人が増えなければ、株価は上がりません。では、どのような場合に投資家は「買いたい」と思うのでしょうか?
買いたい理由や売りたい理由にはさまざまなケースが考えられますが、大きく分けると「会社に関係のあること」と「株式市場や経済全体に関係があること」に分けられます。
まずは、会社に関係のあることを考えてみましょう。
株価は、会社の将来的な成長を反映する
最初に思いつくのが「企業業績」ではないでしょうか。業績がよい会社や将来的に有望な会社の株は、誰もが欲しいと思うはずです。企業業績がよくなれば、多くの投資家に注目されることになりますので、ますます「買いたい人」が増えることになります。上場企業には年4回の決算発表が義務付けられていますが、決算発表を受けて株価が大きく変動するのはこのためです。
また、ヒット商品が生まれれば、将来的に業績に反映されます。これも買いたい理由になるはずです。ただ、ヒット商品の場合は、多くの人が知ったときにはすでに株価が上昇していることもありますので、できるだけ早い段階で“発見”したほうが有利です。つまり、ヒット商品になりそうなものを、まだ他の人が気づいていない株価の安いとき、一足先に投資しておくという考え方です。
そのほか会社に関係することと言えば、イベントやニュース、事件などです。また、新社長就任など役員人事も注目される要因のひとつです。これらが会社にとってプラス材料と判断されれば「買いたい」と思う投資家が増えて株価が上がり、逆にマイナス材料として判断されれば「売りたい人」が増えて株価は下がることになります。
業績がよくても、全体相場につられて売られることも
一方、「株式市場や経済全体に関係があること」には、どのようなことが考えられるでしょうか?
たとえば、2020年前半には、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済の先行きが不安視される局面がありました。このようなケースでは、多くの投資家が不安を感じ、株価が暴落する前に保有している株を「売っておきたい」と考えます。いくら業績がよい会社でも、一時的に全体相場につられて下落してしまうことがあります。
逆に、コロナが収束に向かう局面では、世界経済の先行きが明るくなったことで「株を買いたい」と思う投資家が増えて、株価は上昇していきました。米国市場が2021年から2022年前半にかけて史上最高値を記録したのは記憶に新しいところです。
そのほか、外国為替市場やコモディティ(商品)、金利などの動きも株価に影響を与えます。たとえば、外国為替市場で円安が進行すれば、日本の輸出企業は為替差益が発生し、それが業績を押し上げることになりますので自動車関連株などには追い風となります。
このように株価を動かす要因はさまざまですので、「風が吹けば桶屋が儲かる」というような視点で、将来有望な銘柄を探してみるのもひとつの方法です。ただ、長期投資の視点に立てば、基本的に「株価は企業業績を反映」していくことになります。そういった意味では、買いたい会社やすでに保有している会社の企業業績を常に気にしておきたいものです。
記事作成日:2023年9月7日