まとまった資金がなくても大丈夫
4月の新年度入りを迎え、「今年こそは……」と気持ちも新たに、資産運用を始めたいと考える人も多いのではないでしょうか。第1回で「資産運用は早く始めた方が有利」という話をしましたが、「始めたいけれど、50万円とか100万円とか、まとまったお金がないから無理」と、なかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるかもしれません。
でも、大丈夫です。資産運用はまとまった資金がなければ始められないというものではありません。たとえ、今はまとまった資金がなくても、明日からでも資産運用は始められます。その代表的な方法が、定期的に一定額を投資商品でつみたてていく「つみたて投資」です。
つみたてというと銀行の積立定期預金を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、それの投資版と考えればいいでしょう。証券会社では投資信託や株式を毎月数千円とか数万円ずつつみたてることができます。一度設定すれば変更しない限り自動的につみたてていくので、手間をかけずに資産形成ができます。
これは貯蓄にもいえることですが、「余ったら貯めよう」と思っていると、なかなかお金は貯められません。給与天引きや自動引き落としなどで強制的につみたてていくと、最初からなかったものとしてあてにしないで済み、また安易に引き出すこともできないので効果的です。
たとえば、毎月1万円ずつ、20年間つみたてた場合、元本の総額は240万円ですが、年利3%で運用できれば運用益を合わせて約328万円、5%なら約411万円になります(税引前)。長期になるほど、「複利効果」で増え方が大きくなります。
時間分散に効果的な「つみたて投資」
ただし、つみたて投資はあくまでも投資商品を購入するので、積立定期預金と違って「元本保証」はありません。購入時より価格が下がったときに換金すれば、受取額が積立総額を下回り、元本割れしてしまう可能性もあります。
でも、つみたて投資には、たまたま高いときにまとめて買ってしまい、値下がりした場合の元本割れリスクを軽減してくれる利点があります。一度に買うよりも購入時期が分散されるので、高値で買ってしまうリスクが抑えられるのです。
また、毎月同じ金額でつみたてていくと、買いコストを抑える効果も期待できます。たとえば、毎月1万円ずつA社の株をつみたてていくと、その株価が上がったときには少なく、下がったときには多く買い付けることになります。すると、平均購入単価が下がり、リスクが抑えられる効果が期待できます。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれ、つみたて投資の大きなメリットといわれています。
「20年後に1,000万円」など、目標となる金額と期間から割り出す方法もあるので、金融庁などのサイトで試算してみるといいでしょう。なお、やりくりが厳しくなれば、途中で休止することもできます。投資商品のリスクや内容などをよく確認して選択しましょう。
「ちりも積もれば山となる」といいますが、つみたて投資なら最初に設定するだけで、知らないうちに積立てています。しかも運用がうまくいけば、定期預金よりはるかに高い利回りで増やせる可能性があります。少額ずつ時期を分散して投資できるつみたて投資は、リスクをコントロールしながら始められる資産運用の入口といえるでしょう。
記事作成日:2023年3月31日