物価上昇で新生活シーズンも支出は増加
新生活を始める季節は何かとお金がかかりますが、衣料品や家電製品、家具など様々な物を新しく買いそろえようと考えてウキウキしている人は多いかもしれません。
日本国内の物価はここ数年上昇傾向にあり、2023年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年度比で2.7%上昇したことが発表されました。物価上昇率が年度平均で2%を上回るのは2年連続ということもあって、飲食料品をはじめとした多くの物が値上がりしています。支払いのたびに前よりも出費が増えたと実感している人も多いことでしょう。
そこで今回は、物価が上昇するこのご時世、節約を兼ねて新生活製品を揃える時に役立つ個別銘柄にはどんなものがあるのかを日本株でみていきましょう。
ファーストリテイリング<9983>
企業紹介
「ユニクロ」を中心に洋服や小物等をグローバルに展開する世界トップクラスの小売業。低価格帯商品の「ジーユー」やビジネス向けの「セオリー」等も展開。
注目ポイント
代表ブランドとしては、フリースやミニショルダーバッグが人気となった「ユニクロ」や、若者向けの低価格帯製品を展開する「ジーユー」等があり、世界各国で店舗を展開しています。物価が上昇しているなか、シンプルかつお手頃な製品が多いこともあって、好調な業績が続いています。
日経平均株価の算出に使われる採用銘柄225社のうちの一つです。日経平均は株価の高い値がさ株の影響を受けやすいという特徴があるため、株価水準が高い同社は日経平均株価の動きに影響を及ぼしやすい銘柄となっています。
株価動向
日経平均株価が4万円の節目を突破して上場来高値を更新する際、日経平均への影響が高い同社の株も上昇が続きました。4月1日には48,040円まで上昇して、上場来高値を更新しています。
ニトリホールディングス<9843>
企業紹介
全国の「ニトリ」の店舗で、雑貨や家具等を中心に様々なインテリア製品等の販売を行っていて業界最大手。傘下にはホームセンターの「島忠」も。
注目ポイント
同社は買い物に使える割引券を株主優待として実施していて、毎年3月が権利確定月です。長期で保有した場合は、保有株数に応じて割引券が増える特典を受けられますので、店舗をよく利用される場合は株主優待の獲得がオトクでしょう。
同社製品は低価格がウリとなっていますので、物価上昇による節約志向の高まりは同社に追い風と考えられるでしょう。一方で、円安が進行しているためコストは増加傾向にありますので、為替動向には要注意です。
株価動向
株主優待や配当金の権利獲得に向けて株価の上昇が続き、3月25日に24,420円まで上昇して上場来高値を更新しています。日本株全体の好調もありますが、円安にも関わらず堅調な値動きです。
ヤマダホールディングス<9831>
企業紹介
家電量販店最大手で「ヤマダデンキ」を展開。グループ会社には「大塚家具」や「ヒノキヤグループ」等をはじめとした住宅に関連する様々な企業を抱えています。
注目ポイント
同社は買い物に使える優待券を株主優待として実施しています。保有株数に応じて受け取れる優待内容は異なりますが、株数が多いほど受け取れる優待券が増えます。3月と9月が権利確定月になりますから、店舗をよく利用される場合は株主優待の獲得がオトクでしょう。
郊外店や都市型店を含め家電量販店は全国で激戦を極めています。しかし省エネ家電や共働き世帯を意識した時短家電が好調のようで、グループメリットを活かした事業展開も注目ポイントです。
株価動向
業績の伸び悩みとともに、株価も長期低迷が続いています。最近の株価は400円から500円程度の間を行ったり来たりする推移が続いています。PBR(株価純資産倍率)は割安とされる1倍を大きく下回る0.49倍となっています。
記事作成日:2024年4月3日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。