新しいNISA(少額投資非課税制度)を機に投資を始める人が増えていることもあり、日本の株式市場の代表的な株価指数である日経平均株価が戻り高値を更新する盛り上がりとなっています。一方で、これから投資を始める人の中には、SNSや動画等を見て調べるほど「何を買えばいいの?」と迷ってしまう人もいることでしょう。
そこで、今回は「初心者が最初に買いたい投資信託」の選び方と参考ファンドをご紹介します。
初心者が投資信託をはじめて選ぶ場合に注意していただきたいポイントは主に3つです。
選び方のポイント1.投資対象を考える
1つ目のポイントは投資対象です。
投資信託は株式や債券やリート(不動産投資信託)など様々な金融商品に投資を行います。ご自身の資産運用の方針が、「多少損する可能性はあっても積極的にリターンを狙いたい」のか「大きなリターンはなくてもいいので大きな損失は避けたい」のか「ほどほどでバランスの良い資産運用をしたい」のかなどによって、投資対象も変わってきます。
あなたの資産運用の方針に合わせて、株式などに積極的に投資するものか、債券などに低リスクで投資するものか、それらを組み合わせてバランス良く投資するものか、などを選ぶようにしましょう。
選び方のポイント2.投資する国や地域を分ける
2つ目のポイントは投資する国や地域です。
投資信託を活用すれば、iPhoneやAmazonを誕生させた米国や、人口増加が続くインドなど特定の国に投資できるほか、日本や先進国、新興国などにまとめて投資することもできます。
特に投資地域を決めていない初心者の場合は、複数の地域に投資するものを選ぶのも手です。世界中に投資するファンドを選べば、投資地域を分散することができます。
選び方のポイント3.内容をチェックする
3つ目のポイントは投資信託の内容をチェックすることです。
投資信託には内容を確認できる「目論見書(もくろみしょ)」や「運用報告書」「月次レポート」など、そのファンドを理解する上で分かりやすくまとめられた資料があります。購入前にはそれらを必ずチェックして、「どういうファンドなのか?」「今どういう運用状況なのか?」「コストはいくらくらいなのか?」などを確認するようにしましょう。
日常でお買い物をするときでも、よく調べず衝動買いすると失敗してしまうケースがあると思います。シッカリと事前に調べて比較すれば、防げる失敗もありますし、納得して買うことができるはず。資産運用でも大事なポイントです。
自分に合ったタイプは?
投資信託には大きく分けて3つのタイプがあります。
- 日経平均株価やNYダウなどの株価指数に連動するインデックス型
- インデックス型を上回る成績を目指すアクティブ型
- 株や債券など複数の資産に分散投資するバランス型
ご自身の資産運用の方針に合わせて、これらを選んだり組み合わせたりしていきましょう。わかりやすくシンプルに運用したい方はインデックス型、さらに積極的にリターンを狙いたい方はアクティブ型、株だけでなくバランス良く運用したい方はバランス型という考え方ができます。
そして、長期投資を考えている場合は、投資信託のコスト(信託報酬)にも目を向けましょう。信託報酬は、投資信託の運用に必要な経費のことで、保有している間は少しずつ運用資産から差し引かれます。投資先が同じならコストが低い投資信託を選ぶとよいでしょう。
インデックス型のようにシンプルな仕組みの投資信託ほど信託報酬は低く、アクティブ型は高い傾向にあります。コストは重要ですが、アクティブ型はその分リターンも期待できるので、運用の中身も確認して比較しましょう。
これらの考え方をもとに、初心者が最初に買いたい投資信託の参考例を3本ご紹介します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
騰落率
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年 | 設定来 |
1.5% | 3.4% | 25.7% | 60.3% | 149.1% |
※データは2024年9月30日時点
先進国と新興国の株に低コストでまとめて投資できます。世界情勢の変化に応じて投資地域の割合が自動的に変化していく手軽さもあり、初心者に人気です。
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) 愛称:未来の世界
騰落率
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年 | 設定来 |
5.51% | 2.91% | 36.78% | 33.65% | 301.67% |
※データは2024年9月30日時点
インデックス型を上回る運用成績を目指したい人に向いています。自分で株の銘柄を探すのは大変なので、ファンドマネージャーが厳選してくれるのは手間も省けてうれしいですね。
スマート・ファイブ(1年決算型)
騰落率
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年 | 設定来 |
1.17% | 2.15% | 11.44% | 13.80% | 52.85% |
※データは2024年9月30日時点
いろいろな資産に分散できるバランスファンドで、金(ゴールド)も含まれている安定志向タイプです。一般的なバランスファンドのように資金の配分を均等にするのではなく、リスクの配分(投資成果への影響度)を均等にすることで、様々な金融経済の局面(好景気不景気など)でも安定的なリターンを得ようとしています。
※各投資信託の詳細は目論見書でご確認ください
記事作成日:2024年1月22日(2024年10月16日更新)
ファイナンシャルプランナー
横山利香 短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。