アプライド・マテリアルズが上場来高値更新
今週はエヌビディアの決算に注目
先週はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって6週ぶりに反落
先週の米国市場では、主要3指数がそろって6週ぶりの反落となりました。ダウ平均は0.11%安と小幅安にとどまりましたが、S&P500が0.42%安、ナスダック総合が1.34%安となりました。
火曜日に発表された1月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、米10年債利回りが上昇し、米連邦準備理事会(FRB)による年内複数回の利下げ見通しが大きく後退しました。13日の取引ではダウ平均が前日比524.63ドル安(-1.35%)と昨年3月以来の下落率を記録するなど3指数が大幅安となりました。
その後、米10年債利回りの上昇が一服したことや、1月小売売上高が予想以上に減少したことで水曜、木曜と上昇し、S&P500は終値の最高値を更新しました。
しかし、金曜に発表された1月生産者物価指数(PPI)が予想を上回る伸びとなったことで再び早期利下げ期待が後退し、主要3指数がそろって反落して週の取引を終えました。
S&P500の11セクターは週間で7セクターが上昇し、4セクターが下落しました。素材、エネルギーが2%超上昇し、金融、公益、ヘルスケアも1%超上昇した一方、ITが2.46%安、コミュニケーションが1.61%安、一般消費財が0.77%安と、ハイテク・セクターの下落が目立ちました。
アプライド・マテリアルズが上場来高値を更新
早期利下げ期待の後退や米10年債利回りの上昇が重しとなり、ハイテク株を中心に軟調となりましたが、一部の好決算発表銘柄は堅調でした。
米半導体製造装置最大手のアプライド・マテリアルズが2月15日引け後に発表した2024年度第1四半期(11-1月)決算は、売上高が前年同期比0.5%減の67億700万ドルとなりましたが市場予想の64億7,700万ドルを上回りました。
純利益が同3.4%増の17億8,200万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は2.13ドルと市場予想の1.91ドルを上回りました。
今後についてゲイリー・ディッカーソン最高経営責任者(CEO)はAI向け次世代半導体の開発加速により引き続き業界平均以上の成長が続くと、強気の見通しを示しました。
決算発表や見通しを受けてアナリストの目標株価引き上げも相次ぎました。
JPモルガンは投資判断を「オーバーウエート」で据え置き、目標株価を170ドルから230ドルに引き上げました。
ニーダムも目標株価を240ドルに、ビー・ライリーはアナリストの中で最も高い250ドルに引き上げました。
株価は16日の取引で一時、前日比19.04ドル高(+10.15%)の206.70ドルまで上昇し、11.91ドル高(+6.35%)の199.57ドルで終了。連日で上場来高値を更新しました。
週間では7.39%高と3週続伸し、年初来では23.14%高となりました。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も史上最高値を更新
半導体の設計、製造、流通、販売を手掛ける企業の30銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も史上最高を更新しました。
2022年1月に4,068ポイントの高値を付けたSOX指数は2022年10月に2,089ポイントまで半値近くまで下落しましたが、昨年12月に1年11カ月ぶりに最高値を更新すると、先週12日に4,644.04ポイントまで上昇しました。
1993年12月1日の時価総額を100として算出されるSOX指数は、当初はダウ平均と同じ、単純平均株価方式でしたが、2009年12月21日からS&P500やナスダック総合などと同じ、時価総額加重方式に算出方法が変更されました。
SOX指数の先週末時点の時価総額は5.11兆ドルでS&P500の44.27兆ドルの約12%のサイズの指数です。
組み入れ上位銘柄の年初来騰落率を見ると、時価総額が1.79兆ドルで組み入れ比率トップのエヌビディアが46.63%高、5,831億ドルで2位のブロードコムが11.58%高、5,611億ドルで3位の台湾セミコンダクターが21.82%高、3,700億ドルで4位のASMLホールディングス(ADR)が22.73%高、2,809億ドルで5位のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が17.95%高と、時価総額上位銘柄がSOX指数の上昇をけん引しました。
水曜日引け後のエヌビディアの決算に注目
SOX指数の時価総額の35%を占めるエヌビディアはS&P500の時価総額ランキングでも存在感が高まりました。
時価総額首位のマイクロソフト3兆ドル、2位のアップル2.82兆ドルには及ばないものの、アマゾン・ドット・コムの1.76兆ドル、アルファベット1.75兆ドルを上回り、第3位に躍り出ました。
今週水曜日引け後に発表されるエヌビディアの2024年度第1四半期決算の市場予想は、売上高が前年同期比3.4倍の206億2,100万ドル、純利益が同5.3倍の115億88万ドル、調整後一株当たり利益は前年同期の0.88ドル、前四半期の2.70ドルから4.64ドルへと急増が見込まれています。
期待通りの大幅増収増益決算となれば引き続きAI相場のけん引役が期待されますが、市場の期待に届かない場合はエヌビディアの株価のみならず、ハイテク株相場全体に水を差すことが警戒されます。
記事作成日:2024年2月20日
(DZHフィナンシャルリサーチ)