今週のNY市場は物価指標と金融政策決定会合に注目。先週はダウ平均が0.29%高と3週ぶりに反発し、S&P500が1.32%高、ナスダック総合が2.38%高とともに反発した。利下げを巡る不透明感が続いたものの、エヌビディアの時価総額が一時3兆ドルを上回るなど、ハイテク株の上昇が相場をけん引した。米連邦準備理事会(FRB)による利下げの条件となる労働市場については先週発表された5月JOLTS求人件数、5月ADP民間部門雇用者数、新規失業保険申請件数が軒並み弱い結果となった一方、週末金曜日に発表された5月雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回る増加となったことが利下げ期待の後退につながった。
今週は利下げ見通しを巡り、水曜日寄り前に発表される米5月消費者物価指数(CPI)や水曜日午後に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まる。先週の欧州中央銀行(ECB)理事会では2019年以来の利下げが決定されたが、今週のFOMCでは政策金利の据え置きが確実視されている。しかし、先行きの利下げ見通しを巡り公表されるFOMCメンバーの金利見通し(ドットプロット)や、会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が注目される。このほかの経済指標は火曜日に5月NFIB中小企業楽観度指数、木曜日に新規失業保険申請件数、5月生産者物価指数(PPI)、金曜日に5月輸入物価、6月ミシガン大 消費者信頼感指数 速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。ハイテク株の動向を巡っては、月曜日引け後に予定されるアップルの開発者会議に注目が集まる。決算発表はラクル、ブロードコム、クローガー、アドビなど。
今晩の米経済指標・イベントは5月雇用傾向指数など。企業決算は寄り前にオートデスク、EPAMシステムズなどが発表予定。(執筆:6月10日、14:00)