マーケットにおける需給って何?
株式市場では、「需給」という言葉がたびたび登場します。なんとなく需要と供給のことだと思い浮かびますがマーケット解説やニュースで需給という言葉が使われると「どういうこと?」と考える人もいると思います。
投資を始めたばかりの人からすると「専門用語ばかり出てきてよく分からん!」となりますよね。今回は、マーケットにおいて重要な需給について簡単に解説していきます。
需給って?
前述したように、需給は需要と供給のことです。マーケットにおいては、買いたい人(需要)と売りたい人(供給)がいるので、需給が良い(買いたい人が多い)、需給が悪い(売りたい人が多い)となるわけです。もし、解説で需給が良いという言葉が出てきたら、今は買いたい人が多いのだなという認識でOKです。
市場原理として需要が多ければ価格は上昇、供給が多ければ価格は下落します。需要と供給による価格変動の一例として、コロナ禍では需要>供給となったためマスクが高騰したのは記憶に新しいでしょう。次第に生産が追い付いてきたため、その後は需要<供給となって値下がり、最近は落ち着いてきたので需要=供給(価格安定)といえそうです。
マーケットで需給を変化させる要因
普段の生活のなかでも、何らかのキッカケで値段が上下することがありますよね。不作だったから野菜が高い、発注をミスして多く仕入れすぎたので安売りなど、いろいろな要因があります。
株式市場においても様々な要因で需給が変化します。例えば、政治、景気動向、国内外の情勢といったマクロ的な要因、業績、提携、新商品、増資といったミクロ的な要因など、挙げるときりがありません。簡潔に言えば、その会社にとって良さそうな話であれば需給が良くなる、悪そうな話であれば需給も悪くなるといった感じです。
ただ、いい話があったとしても需給が悪い、悪い話があったとしても需給は良いというあべこべな状況もあります。いまいちピンとこないかもしれません。次では、どういった状況だと需給が悪い、需給が良いのかを見ていきます。
需給が悪い銘柄
マーケットにおける「需給が悪い」は、前述のとおり売る人が多いという状況のことです。株価が下がり続けている銘柄は高いところで買った人が多く存在しますので、戻したところで売ろうと考えている人は少なくないということになります。良い話を受けて買いたい人が出てきたとしても、それ以上に売りたい人が多いため、需給が悪いということになってしまいます。
需給が悪い銘柄の例 エムスリー<2413>
出所:トレーダーズ・ウェブ
国内成長株の代表格であるエムスリー<2413>は、コロナ禍で上場来高値をつけてから上図のとおり下落が続いています。反発しても以前の株価水準に戻らず、下げ始めるとさらに下へ行く・・・という動きを繰り返しています。「底打ちしたかな?」と思った投資家が買ったら、戻りを待っていた投資家が売るという構図です。
もうひとつ、需給の良し悪しを図る指標として信用取引の残高が見られます。「自分は現物しかやらないから信用は関係ないよ!」という人も、取引において大事な参考指標になるので要チェックです。
<エムスリーの信用取引状況>
出所:トレーダーズ・ウェブ
上の表は、売りから始めて下がれば儲かる信用売り、一方で上昇すれば儲かる信用買いの数量です。売りの残高は31万株、一方で買いの残高は398万株ほどありますね。どちらも取引してから半年後にはポジションを解消(売りなら買い戻す、買いなら売却して返済)する必要があるので、信用買いの残高が多いとそれだけ将来の売りの圧力が大きいということになります。良い話で上がったとしたら、信用買いのポジション解消(売り返済)によって上値を抑えられやすい、ということです。
過去の例ではこのような状況ですが、今後は時間をかけて需給が改善されてくるかもしれません。
上昇が続いているときにも要注意
業績好調、地合いよし、割安感ありなど、さまざまな要因で株価が上昇を続けると「まだ上がりそう!」という見方が強まってきます。上昇が続いているので、前述したような戻り売りの圧力も小さいです。
出所:トレーダーズ・ウェブ チャートは参考例
こういった状況により信用買いの残高が増えていくと、勢いが衰えた時に一斉に手じまい売りが出ることがあります。数カ月かけて上昇してきた分が数日で消し飛ぶようなことも起こりうるため、そのまま下落トレンドに移行ということも・・・
今まで上昇してきた経緯があるので、急落した時には押し目買いも入ります。ただ、大して反発せず戻り売り→押し目買い→戻り売りという悪循環に陥りやすく、信用買いの残高が減っていくにはある程度時間もかかります。
情報サイト、東証などで定期的にチェックすると、売買のタイミングをつかみやすくなるかもしれません。毎週火曜日(毎週第2営業日)の夕方に更新されるので、気になったら見てみましょう。
記事作成日:2023年11月2日
(DZHフィナンシャルリサーチ)