2024年から新しいNISA(少額投資非課税制度)が開始しました。昨年からもそうでしたが、各方面でS&P500または全世界株式のどちらを買うべきか?という議論が繰り広げられています。正直なところ筆者はどちらも良い商品だと思っているので、甲乙はつけ難いです。
信託報酬(運用コスト)の話も人気ですね。つみたて投資では、コストが最も低いインデックスファンドを選ぶ方が良いという解説も多く、それだけ個人投資家の関心が高い話題だと思います。
コストが低いに越したことはありませんが、運用会社による信託報酬の引き下げは0.01%の競争。もはやチキンレースです。正直なところ0.01%の差があったとして、複利で運用するにしても運用損益に大した影響は出ません。あっちのファンドにしておけばよかった・・・と思うほど差は出ないはずなので、個人的には正直なところある程度の残高があり、途中償還の可能性が低いものを選べば問題ないでしょう。
とは言いつつも、それではつまらないのでインデックスファンドにも優劣があるお話をします。
優秀なインデックスファンドとは?
インデックスファンドの目的は、ベンチマークとする指数に連動するパフォーマンスを目指すことです。つまり、日経平均連動型を複数比較するとすれば、日経平均の騰落率により近い動きをする方が優秀ということです。
日経平均と同じ構成にするものの、厳密にいえば日経平均そのものではありません。このため、騰落率を完璧に一致させるのは実は難しいことなのです。とある日、日経平均の騰落率が+1.00%だったとしましょう。Aファンドは+1.05%、Bファンドは+0.98%だったとします。パッと見れば、Aファンドの方が儲かっているじゃん!という認識になりますが、設定目的上ではBファンドの方が乖離率は小さいですよね。つまり、運用目的としてはBファンドの方が優秀ということになります。
このように、インデックスファンドはベンチマークと変動率が一致するように運用しますが、微妙に乖離が発生します。この差のことをトラッキングエラーと呼びます。要はトラッキングエラーが少ないファンドほど、投資家が思い描いている通りに運用されるということです。
※DZHフィナンシャルリサーチ作成
どこで確認できる?
トラッキングエラーを調べる簡単な方法は月次レポートを見ることです。ベンチマークの日々の動きを自分で調べて基準価額と照らし合わせてもよいですが、指数によっては有料ツールが必要な場合もあります。
<参考例>
出所:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)月報(2023年12月)
このように、期間ごとの比較が掲載されています。ベンチマークとピッタリの時もあれば、微妙にトラッキングエラーが発生しているときもあります。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に関しては設定来でベンチマークを2%超上回っています。ただ、投資家からすればより儲かっているので、嬉しいの一言ですね。
月次レポートだとリアルタイムではないものの、誰でも見ることができ、ある程度の期間の比較も掲載してあります。ここを見れば、運用目的から見てどのインデックスファンドがより優秀か?という参考指標にできるかもしれません。
記事作成日:2024年1月18日
(DZHフィナンシャルリサーチ)