米国の金融引き締めは終了か?来年は計3回の利下げ予想
FRBの次の問題は利下げの時期
FRB(連邦準備理事会)は12月12~13日に開催していたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を5.25~5.50%で据え置きました。政策金利の据え置きはこれで3会合連続となります。また、同時に公表されたドットチャート(経済見通し)では、2024年に3回の利下げを予想しました。
FRBはインフレ抑制のため、2022年3月から11回にわたって利上げを実施してきましたが、これで歴史的な金融引き締め政策の終焉に近づいたことが示されました。
FOMCの声明では、米国の経済状況について、「最近の複数の指標は、経済活動の伸びが第3四半期の力強いペースから鈍化してきたことを示唆する。雇用の伸びは今年の早い時期より緩やかになってきているが、強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある」と分析しています。そのうえで、「2%のインフレ目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある」としています。
しかしながら、パウエル議長はFOMC後の記者会見で、利上げを予想しなかったことについて「十分な措置を講じたと考えているということだ」としたうえで、「政策金利が引き締めサイクルのピークに達したか、その近くにあると考えている」と述べています。
さらに、「利下げの時期が次の問題であり、それを検討し議論している」と明かしています。FOMC参加者によるドットチャートの予測中央値では、「今後追加利上げはない」との見通しが示されました。予測中央値で追加利上げの見通しが示されなかったのは2021年3月以来となります。
利下げ予想を好感し、NYダウは年初来高値を更新
金利見通しの予測中央値は、2024年末が4.6%、2025年末が3.6%、2026年末が2.9%となりました。2024年と2025年の予想中央値は、前回予想よりも引き下げられています。さらに、2024年には0.25%で3回の合計0.75%の利下げが予想されています。
利上げの事実上の終了宣言と2024年の3回の利下げ予想を受け、FOMC終了後に米国の10年債利回りは8月以来の4%割れに低下しました。外国為替市場では、ドル/円相場が1ドル=145円付近から142円付近まで3円の急激な円高が進行しました。
こうした動きを受け、NYダウは3万6,600ドル付近から3万7,094ドルへ400ドル以上も急伸し、前日比では約512ドル(1.40%)の上昇となり、今年の最高値を更新しました。FOMCで利上げが終了し、2024年には利下げ予想が出されたことで、米国の金融政策は一転して、利下げの時期と下げ幅が焦点となってきました。米国株は利下げ予想を好材料として、今後は好調に推移することが予想できそうです。
記事作成日:2023年12月14日