米国利下げは株にプラス?マイナス?
米国の株式市場は、世界中の投資家が注目するマーケットで、その値動きは各国の株式市場に大きな影響を与えます。
株式市場を動かす要因は様々ですが、最近、特に注目されているのが、米国の金融政策の行方です。
米連邦準備理事会(FRB)は、9月17~18日の2日間に渡って行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を従来の5.25%~5.5%から4.75%~5.0%へと0.5%の大幅利下げを決定しました。
米国の利下げは、2020年3月以来、約4年半ぶりとなります。
一般的には、金利が下がると企業が資金調達しやすくなり、事業の拡大などが期待できることから、株価にとってはプラス要因に働きます。
逆に、金利の上昇は、事業の縮小にもつながることからマイナス要因となります。
なお、金利の低下局面では成長株(グロース株)が、上昇局面では割安株(バリュー株)が一般的に注目されやすくなります。
今回FRBが0.5%の利下げを決めた当日は、NYダウやナスダック総合指数などの主要株価指数は終値ベースで下落しましたが、これは事前に株式市場が利下げを織り込んで上昇していたためで、利益確定の売りが出たと考えられます。
その翌日からは、利下げ方針の継続による米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待から、NYダウは史上最高値の更新が続いています。
なお、パウエルFRB議長は、FOMC後の会見で、さらに年内に0.5%程度の追加利下げを実施する意向を示しました。
今後は、重要経済指標の結果などを見ながら利下げ幅を調整していくことになりますが、今回、米国が4年半ぶりに利下げに踏み切ったのは、今後の米国株市場にとってはポジティブ要因となりそうです。
これにより、利下げの恩恵を受けるであろう、消費関連株や不動産関連株など金利敏感株が買われたり、AI(人工知能)投資の継続期待でハイテク株が盛り返すなど、幅広い銘柄に好影響を与えています。
日本の利上げは株に逆風?とは限らない?
日本の金融政策を決定するのは、日銀(日本銀行)の金融政策決定会合です。
米国とは逆に、日銀は3月の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げを行いました。さらに7月の会合で追加利上げに踏み切り、これを嫌気した日本株市場は、8月上旬に歴史的な暴落に見舞われました。
9月19日~20日に行われた会合では金利の据え置き(現状維持)が決定しましたが、今後も状況に応じて緩やかに利上げが行われる方向のようです。
前述したように、金利の上昇は株式市場にとってはマイナス要因となります。
しかも、米国が利下げし、日本が利上げすることで日米の金利差が縮小し、外国為替市場では円高ドル安に動きやすくなります。
円高は自動車産業をはじめとする日本の輸出企業にとって業績の悪化にも繋がりますので、さらに円高が進むようだと輸出企業の株価にとっては強い逆風が吹くことが予想されます。
では、今後、日本株の上昇はあまり期待できないかと言うと、そうとは言い切れません。
株価を決める要素は金利だけではありませんし、米国株市場が上昇していけば、日本株市場もその動きに追随しやすくなるからです。
また、為替が円高に動く局面でも、円高が業績にプラス要因となる「円高メリット銘柄」も存在します。
代表的な業種は食品や小売りなど、海外で商品などを調達し、日本国内で販売する企業です。
また、金利が上昇すれば、銀行や生損保などの金融セクターにも有利に働きやすいでしょう。
それに、輸出関連株も円高ドル安が続くと見れば、それに向けての対策を打っていきますので、マイナスの影響は徐々に薄れていくことが想定されます。
業績は悪くないのに為替の影響で大きく売られた局面などは株を買うチャンスとなる可能性もあります。
いずれにしても、今、株式市場が注目しているのは、日米の金融政策の行方です。FOMCと金融政策決定会合はそれぞれ年間8回開催されます。
また、それらの会合に大きな影響を与える重要経済指標の発表や要人発言などに注視しながら、投資する業種やタイミングを捉えていきましょう。
記事作成日:2024年9月24日