米国株
重要経済指標をにらみ、利下げ期待が下支え
7月のNYダウは12日に終値ベースで約2カ月ぶり4万ドルの大台を回復し、17日には史上最高値となる4万1,000ドル台まで上げ幅を広げました。ナスダック総合指数も最高値を更新しています。
13日の集会演説中にトランプ大統領候補が狙撃され負傷したものの大事には至らず、これをきっかけにトランプ氏の政策を意識した「トランプ・トレード」も生じました。なお、民主党のバイデン米大統領は21日に大統領選から撤退を表明し、ハリス副大統領を後継に指名しています。
8月の米国株式市場は、7月30~31日、9月17~18日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)での結果や利下げ期待を巡り、2日の米国雇用統計、14日の消費者物価指数(CPI)などの重要経済指標の発表に一喜一憂する展開となる可能性があります。
また、米国主要企業の4-6月期決算発表では、2日にアップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、インテル<INTC>、シェブロン<CVX>、8日にウォルト・ディズニー<DIS>が予定され、月前半は企業決算を手がかりとした物色展開が見込まれます。
一方、8月は機関投資家など市場参加者が比較的長期の夏休み(サマーバケーション)入りとなることから売買のエネルギーが低下し、中旬から下旬に向けては材料難となる傾向があります。このほか、22日から開催の金融シンポジウムの「ジャクソンホール会議」での要人発言が注目されるでしょう。
参考銘柄:8月は主要企業が第2四半期決算を発表
8月は、米国の主要企業が第2四半期(4-6月)決算を発表します。決算発表で注目されるのは、市場の事前予想(アナリスト予想)に対して、実際の業績がどのように推移しているかということ。
実際の業績が事前予想を上回った場合には好感され、株価が上昇する傾向があります。また、通期の業績予想を上方修正した場合にも、株価は人気化します。
目下のところ株価の上昇で市場の期待が高く、好業績でも売られるケースが見られるだけに注意が必要です。
<8月:米国の主要スケジュール>
・8/1:政策金利発表(FOMC)、パウエルFRB議長会見、ISM製造業景気指数
・8/2:米国雇用統計
・8/5:ISM非製造業景気指数
・8/13:生産者物価指数(PPI)
・8/14:消費者物価指数(CPI)
・8/19:民主党大会(22日まで、大統領選の党候補者が正式決定)
・8/22:FOMC議事録(7月開催分)、購買担当者景気指数(製造および非製造業PMI)速報値、経済シンポジウム・ジャクソンホール会議(24日まで)
・8/30:個人消費支出(PCE)
日本株
月前半の企業決算を注視
7月の日経平均株価は日銀による金融政策の転換が意識されつつも、米国株高を好感して月前半は上げ幅を広げる展開となり、7月11日に史上最高値となる4万2,426円をマークしました。大型バリュー株(割安株)を中心に循環物色も展開されて、TOPIX(東証株価指数)も同日に1989年12月の史上最高値を更新しました。ただ、日経平均は7月中旬以降、急ピッチな上昇の反動、為替の円高、半導体関連株の株価下落を受けて調整に転じました。
8月の日経平均は、米国株の動向と半導体関連株の落ち着きと為替相場が焦点となります。上値のカギを握るのは、月前半の第1四半期決算発表となりそうです。決算発表は14日で一巡します。この企業決算が一巡すると、国内外の機関投資家が夏休み入りすることで市場参加者が減少し、「夏枯れ相場」になりやすくなります。
また8月はアノマリー(経験則)的に為替相場が円高方向に振れることが多く、輸出・ハイテク株は上値が重くなる傾向もあります。基調的には下ブレを警戒し状況を見極めつつ、押し目買いチャンスを狙いたいところです。
このほか、日経平均とともに機関投資家のベンチマーク指数として活用されている「JPX日経インデックス400」「JPX中小型株指数」の指数構成銘柄の入れ替え発表が7日に予定されています。新規採用銘柄は、機関投資家のインデックス運用の対象となることから買い先行の思惑が働く需給イベントとなります。
参考銘柄:日本企業は第1四半期決算を発表へ
3月決算企業が多い日本では、8月は第1四半期(4-6月)の決算発表が集中します。とくに、為替の前提条件、株主還元方針などを含めて1日後場の場中に発表予定のトヨタ自動車<7203>のほか、7日のソニーグループ<6758>、ソフトバンクグループ<9984>が注目されます。日経平均への寄与度が大きい8日の東京エレクトロン<8035>の決算ガイダンスも関心を集めそうです。
円高ドル安が進行している状況だけに、想定為替レートを含めた先行き見通しが注目されます。
<8月:日本の主要スケジュール>
・8/5:日銀金融政策決定会合議事要旨(6月開催分)
・8/7:JPX日経インデックス400、JPX中小型株指数の定期銘柄入替発表
・8/8:日銀金融政策決定会合「主な意見」(7月開催分)
・8/9:決算発表ピーク
・8/12:日本株市場休場(8/11「山の日」の振替休日)
・8/14:決算発表シーズン終了
・8/23:全国消費者物価指数
・8/30:東京都区部消費者物価指数
記事作成日:2024年7月25日