新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まっておよそ半年が経ちました。NISAで米国株に投資している方も沢山いらっしゃいます。
ここまで米国株は好調に推移してきましたが、今後の動向が気になるところでしょう。そこで、年前半6月末までの米国主要株価指数の動向と、今後の投資戦略について考えてみましょう。
ナスダックは、NYダウの5倍近いパフォーマンス
まず、NYダウですが、こちらは米国の代表的な30社の企業の株価で構成される指数です。基本的に30銘柄の株価を足して銘柄数で割った株価平均型の指数であるため、株価の高い銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。
NYダウの昨年末の終値は、37,689.54ドルでした。今年の最高値は、5月につけた40,077.40ドルで、これが6月末時点での史上最高値となります。6月末の終値は39,118.86ドルです。
一方、S&P500は、米国を代表する500社で構成される指数で、NYダウやナスダック総合指数に比べ、米国株市場全体の値動きを反映する指数とされています。幅広い業種の大型株で構成されており、4期連続で黒字であることなどの選定基準があります。
S&P500の昨年末の終値は、4,769.83ポイントでした。今年の最高値は、6月につけた5,523.64ポイントで、これが6月末時点での史上最高値となります。6月末の終値は5,460.48ポイントです。
そして、ナスダック総合指数は、ITやハイテク株が中心のナスダック市場に上場するすべての企業の株価を反映した指数です。
ナスダック総合指数の昨年末の終値は15,011.35ポイントでした。今年の最高値は、6月につけた18,035.00ポイントで、これが6月末時点での史上最高値となります。6月末の終値は、17,732.60ポイントです。
2023年末から今年6月末までの騰落率を比べると、ナスダックはNYダウの約4.8倍ものパフォーマンスとなりました。
明暗分けたエヌビディア
これら3指数を比較すると、2024年の前半戦は、ナスダック総合指数が圧倒的なパフォーマンスとなっており、続いてS&P500が後を追い、NYダウは出遅れていると言えそうです。
この背景にあるのが、米国株式市場で旬のテーマとなっている半導体や生成AI(人工知能)です。
今や世界中の投資家に認知されるようになった米国半導体大手のエヌビディア<NVDA>ですが、同社の株価は2024年だけでも3倍近い上昇となっており、その他の関連銘柄の上昇も目立っています。
エヌビディアは、ナスダック総合指数やS&P500の採用銘柄となっていますが、NYダウには含まれていません。将来的には、NYダウに採用される可能性があるとも言われていますが、今年前半に関しては、エヌビディアを含む半導体や生成AI銘柄の上昇の恩恵をNYダウは反映できなかったというわけです。
ここからの注目株は?
こうした背景は銘柄選びでも参考にできそうです。銘柄を選ぶ際にどこに注目するのかは投資家の考え方や、投資スタンスによっても異なると思いますが、株式市場には大きく分けて「グロース株(成長株)」と「バリュー株(割安株)」という2つの視点が存在します。
グロース株は、前述したエヌビディアのように今後の大きな成長が期待される銘柄です。一方、バリュー株は業績や企業価値に比べて、株価が割安に放置されている銘柄を指します。
どちらもメリットやデメリットがありますが、過去の経験則では、米国の経済事情に左右される傾向があります。
一般的にグロース株は、インフレが鎮静化し、金利が下がる局面での上昇が目立ちます。
一方、バリュー株は、インフレが定着し、金利が上昇する局面で選ばれる傾向があります。
ですので、今後の米国の経済状況を予測すれば、グロース株とバリュー株のどちらが優位な展開になるのかが判断できそうです。
とはいえ、現在の米国経済は、微妙な立ち位置にいます。将来的には利下げが見込まれていますが、現状では重要経済指標は比較的強く、利下げ時期の予想が後ずれしています。
その点でも、金融政策に影響を与えそうな経済指標には注目しておきたいものです。
今後は市場の見込み通りに利下げの可能性が高まれば、グロース株が有利な展開となり、個別銘柄ではハイテクやIT関連、指数ではナスダックやS&P500に連動する投資信託が引き続き人気となるでしょう。
一方で、インフレが高止まりし、さらなる利上げが必要となれば、割安な指標のバリュー株や、NYダウに投資する投資信託、高配当利回りに着目した個別銘柄や投資信託に投資妙味がありそうです。
また、グロース株が買われすぎて調整している間にバリュー株が買われる、いわゆる「循環物色」も今年前半に見られました。インフレや金利情勢も単純に一方向というわけではないので、その辺りからも循環物色となる可能性もあります。
ハイテク株などだけでなく、高配当株や出遅れ株なども合わせて見ておきたいところです。
記事作成日:2024年7月3日