米国株
マーケットの関心は、金利動向と米国景気へ
6月の米国株式市場は、NYダウが3万9,000ドルラインを挟んでのもみ合いとなる一方、ナスダック総合指数は史上最高値を更新する展開となりました。FOMC(連邦公開市場委員会)において7会合連続で政策金利が据え置かれたものの、同時に公表された政策金利見通しで年内の利下げ回数が前回の3回から1回に変更されたことが上値を圧迫しました。
根強いインフレへの警戒に加え、米国内景気の減速感も意識され、景気敏感株が主体のNYダウは上値が重い展開となりました。一方、ハイテク株が中心のナスダック総合指数は半導体大手のエヌビディアがリード役となり、S&P500指数とともに最高値を更新する展開となりました。
7月の米国株式市場は月末のFOMCに向けて、利下げのタイミングと回数に関心が向かうことになりそうです。その政策金利への影響が大きい5日の米国雇用統計、11日の消費者物価指数(CPI)、12日の卸売物価指数(PPI)、24日の購買担当者景気指数(PMI)をにらんで神経質な展開が続く可能性があります。
一方、6月に発表されたCPIやPPIで米国景気の減速感もみられ、市場では年内の利下げ回数が2回になるとの見方も残って相場を下支えしています。
6月下旬にエヌビディアなど生成AI(人工知能)や半導体関連株が、史上最高値を更新後に下落する場面もありましたが、これらの銘柄に大きな崩れがない限りは、堅調な展開が期待できそうです。
参考銘柄:人気ハイテク株が久々の押し目
6月のナスダック総合指数の史上最高値更新の原動力となったのが、エヌビディアやアップルといったハイテク株の上昇でした。下の表は、特に6月の上昇が目立った銘柄群です。中には6月後半に調整している銘柄もあり、絶好の買い場となる可能性もありそうです。
<7月:米国の主要スケジュール>
・7/1:ISM製造業景気指数
・7/3:ISM非製造業景況指数、FOMC議事要旨(6月開催分)
・7/4:米国市場休場(独立記念日)
・7/5:米国雇用統計
・7/9:パウエルFRB議長上院で証言
・7/11:消費者物価指数(CPI)
・7/12:生産者物価指数(PPI)
・7/15:米大統領選挙共和党大会
・7/24:購買担当者景気指数(製造業および非製造業PMI)
・7/26:個人消費支出(PCE)
・7/30:FOMC(連邦公開市場委員会/31日まで)
日本株
金融政策と為替の動向、企業決算を注視
6月の日経平均は3万9,000円を上限、3万8,000円を下限とする5月中旬からのボックス相場が継続しました。6月の日銀金融政策決定会合で政策金利は市場の事前予想通り据え置かれる一方、焦点となっていた国債の買い入れ減額については、7月の会合で具体的な減額計画を決定するという形で、結論が先延ばしされました。
植田日銀総裁の記者会見では「状況次第で7月の利上げもありうる」とクギが刺されましたが、為替相場が円安ドル高に向かい、相場の下支え要因ともなりました。
7月の日経平均は米国と同様、月末の金融政策の結果発表と国債の買い入れ減額規模と内容をにらむ展開となりそうです。月前半は3月期末配当の再投資で堅調な展開となる期待がありますが、中旬は手掛かり難から値動きの乏しい軟調な展開になる可能性があります。そして、下旬は3月期決算企業の第1四半期決算発表が始まり、相場を左右することにもなりそうです。その決算発表は23日大引け後のニデック<6594>の決算発表から本格化します。
このほか、7日に国政にも影響を与える東京都知事選挙が実施され、その影響は未知数ですが、波乱材料となる可能性もあります。
7月下旬から始まる3月期企業の決算発表による業績相場の到来までは、個別株物色の展開となりそうです。また、値がさ株の半導体関連株はやや上値が重くなり始めていることから、出遅れ感のあるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄、高配当利回りのバリュー株に選別の目が向きやすいでしょう。
また、26日にパリ五輪が開幕し8月11日まで開催されることを受けスポーツ関連株が物色される可能性もあります。
参考銘柄:PBR1倍割れの高配当株
東証は、PBRが低迷する企業に改善策の開示や実行を要請しています。PBRを引き上げるためには、自社株買いなどを行うことが有効です。そのため、PBRが1倍を割り込んでいる企業には、今後、何らかの改善策が期待できます。下の表は、PBR1倍割れ企業の中から、配当利回りが4%以上の銘柄をピックアップしました。
<7月:日本の主要スケジュール>
・7/1:日銀短観
・7/5:景気動向指数
・7/7:東京都知事選挙投開票日
・7/15:日本市場休場(海の日)
・7/19:全国消費者物価指数
・7/23:ニデックが3月期第1四半期決算を発表、決算シーズンスタート
・7/30:日銀金融政策決定会合(31日まで)
・7/31:植田日銀総裁会見
記事作成日:2024年6月26日